<中日2-2阪神>◇24日◇ナゴヤドーム

 中日中村紀が、値千金の同点打を放った。森野の犠飛で1点差に詰め寄った6回2死一、二塁。江草の141キロ直球を得意の右打ち。右中間に運んで試合を振り出しに戻した。「初回、エラーで点が入ってしまったので、これで返しました」。

 痛恨のミスがあった。初回先頭の赤星のゴロをファンブルして今季2つめの失策を記録した。初回はその赤星が生還して、先制を許した。中村紀は昨季、三塁手でゴールデングラブ賞を獲得したが、セ・リーグ3位タイの13失策を記録しており、守備については不本意なシーズンだった。

 2月の沖縄キャンプでは若手にまじって午前8時40分に宿舎を出て早出特守を繰り返した。守備の改善に向けて汗を流してきたが、大事な首位攻防戦の初回でエラー。募った悔しさをバットで晴らした形だ。

 試合は、3月28日広島との開幕戦に続く今季2度目の延長戦に突入した。投手陣を次々と投入した。9回に守護神岩瀬が1死満塁のピンチをしのぐ。10回からは左腕高橋が2イニングを無失点でしのいだ。しかし中日打線は、阪神久保田を打ち崩せずに緊迫した状態が続いた。

 そして2-2で迎えた延長12回。マウンド上にはエース川上が登場した。どよめくナゴヤドームの中で、黙々と投球練習。23日には、1軍登録されて即中継ぎ登板。そしてこの日、午後10時半を過ぎた場面で、またも登場した。川上はこの回を無失点で切り抜けた。試合は引き分けに終わった。