<中日2-2阪神>◇24日◇ナゴヤドーム

 中日は延長12回、5時間を超えるロングゲームの末に、阪神と引き分けた。先発チェンが1回と4回に1点ずつを失い、2点を追う6回に森野の左犠飛で1点を返すと2死一、二塁から中村紀の適時二塁打で同点とした。7回以降は小林、平井、岩瀬、高橋とつないで最終12回には23日に再登録されたばかりでプロ初の連投となるエース川上を投入する総力継投。首位阪神に勝ち越し点を許さず、8カード連続勝ち越しを阻止した。

 エースの誇りをかけた1球だった。川上が、延長12回2死二、三塁、カウント2-1からの146キロの直球で内角をついた。関本が身動きできないほどの球威とコース。見逃し三振を確認すると、強く握った拳を突き上げて、そのまま地面に振り下ろした。そしてもう1度、拳を胸元にひきつけて、雄たけびをあげた。

 「どんな形でも点を取られたら負けだった。それだけを意識して一生懸命投げました」。

 リベンジの舞台だった。23日に1軍登録即中継ぎ登板した。しかし新井に1号ソロを浴びて「ゲームを壊してしまった」とわびた。森バッテリーチーフコーチはこの日の試合前に「川上は、ブルペンではすばらしい球を投げている。だがどこで使うかはおれが決めることだ」と話していた。そして、川上はこの日も「万が一」に備え中継ぎ待機。午後10時30分を過ぎた延長12回に登場した。

 これまで移動日を挟んだ連投はあったが、2日連続登板はプロ11年目で初めてのケースだった。首位阪神を相手に勝利にこだわる落合監督の執念がにじみでた起用。先頭の代打葛城には中前打を許した。赤星を敬遠もした。だが最後はきっちり仕留めた。

 落合監督は川上の連投について「いいんじゃないか。(前日は)先発したわけじゃないし、他にいるか?」と話した。試合は今季最長5時間1分の死闘の末に2-2。3月28日広島との開幕戦以来今季2度目の引き分けとなった。首位阪神との3連戦は1勝1敗1分けでゲーム差は「2・5」のまま。それでも落合監督は「今日は0-2で負けのゲーム。ホントは0-1で負けかも。引き分けにしてくれて、負けなかっただけよかった」と収穫を口にした。【益田一弘】