<ソフトバンク0-5ロッテ>◇25日◇福岡ヤフードーム

 低迷するソフトバンクがさらなる窮地に追い込まれた。多村仁外野手(31)が、25日のロッテ7回戦(福岡ヤフードーム)で右足の腓骨(ひこつ)を骨折した。3回の守備の際に左翼手の長谷川と交錯。試合中に福岡市内の病院で検査を受けた結果、腓骨骨折が判明し、4~6週間の患部固定が必要と診断された。実戦復帰には2~3カ月は要する見込みで、前半戦絶望の可能性も出てきた。チームは2戦連続の完封負けを喫し、4月の月間負け越しが決定。6年ぶりの借金3を背負った。

 その姿は何とも痛々しかった。試合終了から約30分が過ぎた午後9時すぎ。多村は不慣れな松葉づえをつきながら、球場に戻ってきた。ユニホームのズボンを切り裂き、右足は足先までギプスで固定されていた。そのまま王監督を訪ね、検査結果を報告。「聞きましたよ。腓骨骨折ということで、4~6週間は固定が必要だと。その後だよね。ギプスをしたら筋肉が落ちる」。王監督は多村の長期離脱を覚悟した。

 アクシデントは3回に起きた。1死二塁からロッテ大塚の左中間の打球を、中堅の多村と左翼の長谷川が追い、激しく激突。1度は抜けた打球を追いかけようとした多村だが、すぐにあきらめ、右足を抱えるように倒れ込んだ。球場内の医務室に運ばれると、3回表終了後には、王監督も足を運び、多村の症状を気遣った。救急車で搬送された病院での検査結果は「腓骨骨折」。検査後、多村は謝罪に訪れた長谷川に対して「気にしなくていい。どんどん(球を)捕りに行って、おれの分も打ってくれ」と励ましたという。

 あまりに痛い戦力ダウンだ。3番中堅として、ここまでチーム最高の2割9分8厘をマーク。23日の楽天戦で腰痛、左ひざ痛から5試合ぶりにスタメン復帰したばかりだった。王監督も「起きたことは仕方がない。あまり予測してもしょうがないし、早く治って、戻ってもらうしかない。それ以外のメンバーでカバーしていくしかない」と現有戦力で乗り切る覚悟だ。最低でも1カ月は患部の固定が必要で、そこから下半身の強化を行い、実戦復帰には2~3カ月かかる見込みだ。順調に回復すれば1軍復帰は7月、最悪の場合には前半戦絶望の可能性もある。

 チームは多村の離脱に意気消沈するように、2戦連続の完封負けを喫した。連続0点負けは06年8月6日ロッテ戦、同8日の日本ハム戦以来だが、先発投手に封じ込まれる純粋な連続完封負けとなれば、98年9月6日の西武戦、同8日のロッテ戦以来、10年ぶりのことだ。マイナスの記録はまだまだ続く。「借金3」は02年8月9日以来、2086日ぶりで、この日の黒星で、98年以来となる4月月間負け越しも決定した。

 今日26日に多村と出場機会の少ない金子を出場選手登録から外し、レストビッチ、小斉という打力重視の入れ替えに着手する。「とにかくカバーしていくしかない。今年はこういう年なんだから。乗り越えていかないと」。王監督は悲壮な決意を示した。