<巨人6-5阪神>◇8日◇東京ドーム

 木曜の悪夢か、久保田への試練か。巨人戦3連勝のかかった勝利まであと6アウトの関門を、乗り越えられなかった。つまずいたのはまたも、悩めるセットアッパー久保田だった。

 1点リードの8回裏、小笠原に左翼フェンス直撃の二塁打を許し、ラミレスにはセンターカメラマン席に逆転2ランを運ばれる。どちらも捕手のサインに首を振り、自信を持って投げ込んだ1球を痛打された。

 「そんなの、打たれたらアカンわけやから。結果だけよ。2日前は抑えたかも分からんけど、毎回打たれていては何にもならない。起用法は別に難しくはならない。1人のためにやっているんと違うからな」

 打者2人で逆転されては、岡田監督も断罪するしかない。9連戦のうち中日、巨人との6試合で落とした2敗は、いずれも8回久保田の失点が原因だ。6日の巨人戦では4点リードの8、9回にあえて調整登板させるなど、浮上のきっかけをつかませるのに懸命だった。だが勝負のかかった場面でこらえ切れない姿に、我慢の限界を超えた。一時的にセットアッパーからの配置転換をにおわせた。

 久保田はぶぜんとした表情でひと言も発せず、帰りのバスへ急いだ。カウント2―1と追い込んだラミレスへの1球に、捕手野口は「外の変化球をきらって内にストレートを投げた」と説明した。久保田の生命線である速球の復調をバッテリーは信じていた。結果は無残で、残酷だった。

 日本記録の90試合に登板した昨季もわずか6本しか許していない本塁打が、これで5本目。防御率も3・70まで落ち込み、プライドもズタズタだ。

 開幕直後からウィリアムスが不在のブルペンで、藤川と2人で牙城を守ってきた。先発陣の踏ん張りもあってこれまで目立たなかったが、皮肉にもウィリアムス復帰の目前に際だつ急降下ぶりだ。久保田の苦悩を丸かぶりしてしまったチームはなぜか木曜日は0勝3敗1分け(雨天中止が2度)といまだ未勝利。首位を快走しながら、見入られたように勝てない日が週に1度、訪れる。【町田達彦】