<日本ハム4-3ソフトバンク>◇11日◇函館

 日本ハム森本稀哲外野手(27)が長いトンネル脱出へと導いた。

 左に函館山を望み、単独では今季初のお立ち台で憎いセリフで盛り上げた。「今日は北海道のために勝ちたかった。全域をホームタウンと思っているから」。そんな思いを、泥臭い一打に込めた。同点の7回2死一塁から、ソフトバンクの新人久米のけん制エラー、暴投で広がったチャンスだった。カウント1-2からのスライダーをたたきつけた。ゴロで三遊間へと転がした。

 「ここでパン、パンって終わってしまったら流れが向こうにいってしまう。土も味方してくれました」。したたかに地方球場の特性も状況判断し、名手・川崎の足元を抜いた。最大3点リードを追いつかれた嫌なムードを一掃した。「いつもこんな試合ばかり。最後まで気が抜けない。ラッキーだった」とイライラが募る梨田監督を、会心の接戦勝利で癒やした。

 15泊16日の長期ロードのまっただ中。連敗も脱出して、2位に再浮上した。「劇団ひちょり」の函館公演は、ハッピーエンドで幕を閉じた。【高山通史】