楽天のルーキー長谷部康平投手(22=愛知工大)のデビュー戦が、試合開始直後の豪雨で幻となった。投球練習時から降り出した雨は1回、オリックス先頭の坂口を投ゴロに打ち取ったところで激しさを増し中断。そのままノーゲームとなった。“初登板”は、わずか4球で終わった。大物ルーキーが記録には残らずとも記憶に残るデビューを果たした。

 あっという間のノーゲームに笑うしかなかった。「僕、何もしてないですよ」。だが予感はあった。この日は夜、雷雨の予報だった。さらに長谷部は自称雨男。春季キャンプでもフリー打撃初登板が雨で室内練習場に変更になるなど“実力”を発揮していた。「雨男の僕が悪いんです。おかんに謝らなきゃ」と観戦に来た両親を気遣った。

 わずか4球でも実力の片りんは見せた。2球目のスライダーで空振りを取ると、遊撃手の渡辺直は「ボール球なのに空振りするんだから相当いいんじゃないですか」。野村監督も「スライダーがいいのかな。様子?

 堂々としとるね」と振り返った。それでもベンチ裏では緊張でドタバタ劇を演じていた。試合前、ブルペンで待機していると「名前が呼ばれて慌てて出て行ったので水を飲めなかった。早く水飲みたいなぁと思っていました」。すると空から大量の雨粒が落ちてきた。「すかさず飲みましたよ」と笑わせた。

 15日は中継ぎ待機としてベンチに入り、次回の先発登板に備える。野村監督は「スライドでもいいけど。投げたくてウズウズしてるからね」と、今後の先発ローテーションとして期待をかけた。長谷部は「まだ何も始まってないですから」。次回こそ晴天の下で、記録に残る野球人生をスタートする。【小松正明】