巨人からドーピング違反者が出た。日本プロ野球組織(NPB)は26日、巨人ルイス・ゴンザレス内野手(28)が4月30日の広島戦(東京ドーム)後に受けたドーピング検査で禁止薬物が検出されたとして、同内野手に08年5月26日から翌年5月25日まで1年間の出場停止処分を科した。日本球界での摘発は昨年のソフトバンク・ガトームソン投手に続いて2人目。検出された物質が「グリーニー」と呼ばれる薬物に特徴的なものであるなど、悪質性が高いとして重い処分が下された。巨人は同日、同選手を解雇することを決めた。

 日本球界で2人目のドーピング違反が摘発された。4月30日の検査でゴンザレスの検体から検出されたのは、興奮剤として禁止物質に指定されているクロベンゾレックス、アンフェタミン、パラヒドロキシアンフェタミンの3物質。ゴンザレス本人は2度の事情聴取にも興奮剤使用を否定して再分析を求めたが、保存用の別検体でも同じ結果が得られたため、NPBはこの日に処分を決めて巨人及び本人に通達した。

 NPB医事委員会によれば、ゴンザレスの検査で検出された3物質は通称「グリーニー」と言われる興奮剤に特徴的なものであるという。人体内では生成され得ない物質であり、またアンフェタミンは覚せい剤取締法で規制される物質でもある。またゴンザレスが全面否認し、その上で行われた再分析でも陽性反応が出たという経緯も重い処分に影響した。1年間の出場停止は、4段階ある制裁のうち「無期限の出場資格停止」に次いで2番目に重いものだった。コミッショナー事務局の長谷川事務局長は「規定に従って警察にも通報しましたが、捜査の結果、おとがめなしという結論を得たと聞いています」と語った。

 日本球界でのドーピング違反は、昨年のガトームソンに次いで2人目となる。同投手は常用していた発毛剤の影響で禁止薬物フィナステリドが検出された。だがキャンプ時に球団トレーナーに常用を届けており、検査で陽性反応が出た後も素直に服用を認めて発毛剤も提出していた。その結果として20日間の出場停止処分にとどまった。だがゴンザレスのケースは、検出された物質の性質などを総合的に判断した結果、それよりはるかに悪質とされた。

 NPBはこの日午後7時40分、東京・内幸町のコミッショナー事務局で緊急会見を行い処分を発表した。根来泰周コミッショナー代行(75)は「選手個人にとってもスポーツ界にとっても大きな痛手。厳正に処分して再発防止に当たっていく以外に手はない」と遺憾の意を表した。