取り乱した助っ人右腕の姿が、痛恨の連敗の後味をさらに悪くした。日本ハム・グリンが一番でロッカールームを飛び出し、一目散に球場に隣接するホテルへと戻った。取材しようと近づく報道陣に「しゃべることはない。4回しか投げていないのに何があるんだ!」と一喝。昨季の交流戦MVPは、英語で一方的にまくし立て、速足で消えていった。

 巨人相手にともに接戦をものにできなかった。交流戦1カード2試合になってから、初めて同一カードの連敗。交流戦6連勝中だったグリンの不敗神話も途切れた。初回に木村拓に先制2ランを献上。1点を返した直後の4回には2死二塁から投手のバーンサイドに左前適時打を許してしまった。「あそこはもったいなかった」。梨田監督も指摘した独り相撲で、流れを壊した。

 核弾頭の森本不在で迎えた初戦。試合前に、東京ドームのロッカールームで荷物を整理してチームメートへ託した、リードオフマンの願いは届かなかった。梨田監督は「苦しい中で追い上げてくれた」と評価はしたが、野手に痛恨のミスも飛び出した。2点を追う7回無死一、二塁で、陽が送りバントを失敗。猛チャージをかけた一塁手・木村拓の前へ、素直に転がして、走者を進めることはできなかった。

 「バント自体は悪くなかったけれど、ファーストの出方が見えていれば」。梨田監督が結果論で、レベルの高い要求をしてしまうほど、チーム状況が行き詰まっているのが現実だ。1日のオフを挟み、28日から神宮でのヤクルト2連戦。突如、嵐のようにやってきた逆風の中で、試行錯誤の毎日がしばらく続く。【高山通史】