<阪神2-1西武>◇26日◇甲子園

 12球団随一のパワフル打線を相手に、アーチを描かせない。広い甲子園で、阪神投手陣が西武の強打者を翻ろうした。模範になったのは先発下柳だ。中盤まで要所を締める投球が光る。2回には無死一塁で、中村を注文通りシュート系の球で引っ掛けさせ、遊撃への併殺打に打ち取った。

 下半身を生かす、ゆったりとした投球フォームで、レオ打線のタイミングを微妙に狂わせた。5回まで無失点。それでも、ツキがない。1点リードした直後の6回1死一、三塁。中島のバットのしんを外したが、三塁方向に高く弾む。捕球した関本が本塁送球をあきらめ、一塁に投げるがこれもセーフ。不運な適時内野安打を許して、同点に追いつかれた。白星から見放されたが、劇的な結末を見届けて、笑顔を浮かべた。

 下柳

 (中島の打球は)ヒットはヒット。ヒットはヒットだよ。点を取られたオレが悪い。チームが勝ったから良かったよ。

 阪神史上初の40歳左腕としての勝ち星は登板2試合連続でお預けだ。それでも岡田監督は「シモらしい投球をしてくれた。先発が踏ん張って、うしろの投手もよくゼロに抑えてくれた」と信頼感を寄せる。復調気配の久保田も意地を賭けたマウンドさばきを見せた。圧巻は9回だ。先頭中島に右前打を許すが、ブラゼルを高め速球で空振り三振に封じる。好調のG佐藤にも外角へズバッと決め、見逃し三振に仕留める。中軸を料理して、勝負どころをしのぎきった。

 久保田

 何とか結果が出ている。それでチームが勝っているので、この流れについていきたい。

 細心の投球を心掛けた4投手が鉄壁リレー。今季、球界トップの72本塁打を誇る西武打線を、甲子園2試合では完ぺきに封じた。獅子打線を2試合連続ノーアーチに封じたのは今季3度目の“快挙”だ。2戦の総得点も「2」にとどめるなど、眠れる獅子を起こさなかったのも大きな勝因。阪神が誇る投手陣が、パ首位チームに完全に投げ勝った。【酒井俊作】