<日本ハム2-1阪神>◇5月31日◇札幌ドーム

 日本ハムが盤石リレーで接戦を制した。先発ブライアン・スウィーニー投手(33)が、セ首位の阪神相手に7回1失点の好投。7回に逆転すると、宮西尚生投手(22)武田久投手(29)とつなぎ、1点リードを守り切った。5月16日に守護神マイケルが負傷のため登録を抹消されたが、それ以降、武田久が7試合で6セーブ、宮西が6試合で1勝3ホールドと不安を一掃。安定したリリーフ陣が、今季最多の貯金8へと導いた。

 アウトロー攻めから、ラストは派手なアッパーカットで締めた。170センチの小さな鉄腕が、マウンドで宙を舞う。1点リードの9回2死二塁。武田久が難所を簡単に抜け、ゴールにたどり着いた。新井とのすべて外角低めへの5球勝負。「幸せ。こういう勝負をしたい」。最後はワンバウンドするフォークで空振りを誘った。

 空中に体が浮くほど、興奮は頂点だった。打席の新井は駒大の2年先輩。その前の打席で200号の記念弾をかけた大砲に、1発出れば逆転のピンチだった。「しびれましたね、最後は…。自分では見たくない。もうやんないです」。猛省するほどアドレナリン爆発のド派手な勝ち名乗り。ブルペンに閉じこめられたままの虎自慢の救援陣を尻目に、飛び出すことが許されたマウンドで躍動した。左の新セットアッパー宮西とのリレーで、1点を守り切った。

 波乱の5月を、完ぺきフィニッシュへ導いた。昨季から続く阪神戦、今季の交流戦の本拠地と、ともに5連勝。2カ月連続の月間勝ち越しの15勝9敗で乗り切った屋台骨になった。5月15日にマイケルが故障離脱。交流戦直前でのアクシデントで、本来のセットアッパーから“暫定守護神”を任された。疲労蓄積の中、節酒するなどして体調を維持。その後7試合で6セーブ。調整登板の1試合をのぞけば、実質“6連続セーブ”で、白星量産モードを支えた。

 離脱も含め、主力が大小の故障を訴える中で、泣き言を言わず、接戦の終盤を守り通してきた。4月には敵地西武戦で、同期入団6年目の尾崎のプロ初安打を祝い、疲れた体にムチ打ち、たった2人の祝宴を開いた。陰でもチームのためにフル稼働するタフネス右腕の活躍で、貯金は今季最多8にまで膨らんだ。「まさか、こんな舞台ではやれるとは思わなかった。すごい気合入っていたんで気持ち良かった」。セ・リーグ首位を走る今季の猛虎の象徴、星野ジャパンの主砲を鮮やかに切り、鉄板リレーを締めくくった。【高山通史】