<ヤクルト2-7阪神>◇28日◇秋田

 育成枠上がりのまじめな助っ人に、秋田の女神はやさしかった。2回に金本、鳥谷、矢野と3本の安打で1死満塁とした先制チャンス。モノにしたのは8番三塁で先発したバルディリスだ。初球の外角低めにしずむシンカーを必死にバットでとらえると、緩い当たりの打球はコースよく一、二塁間を抜けていった。「スピンがかかって、うまく(野手の間を)抜けてくれた。ラッキーだったよ」。2点打は来日以来初だ。

 岡田監督も「あまりいい当たりじゃなかったけどな」と苦笑する打球だったが、6日ぶりの実戦となったチームを乗せるには十分な先制点だ。バルディリス自身はその間、2軍戦で2試合に出場。ゲームに出て暴れたいという欲求が、11日西武戦以来の先発出場ではじけた。

 支配下登録、出場登録をされて即デビューとなった5月3日・中日戦での出番も満塁だった。意気込んで打席に構えたが、避けようのない死球。とにかく1打点を挙げた。「何か、持っているんやろなあ」と岡田監督が巡り合わせのよさをインプットしたことがある。まだ2度目の機会で大げさだが、1打数1安打3打点で成功率10割の“満塁男”に名乗り出た。

 1回裏の守りで、いきなり1番福地のライナーが飛んだが、軽くさばいた。自慢の守備でも軽快に滑り出し「みんながいいスタートを切れてよかったね」と勝利を喜んだ。