<日本ハム6-4西武>◇3日◇札幌ドーム

 ひちょり、ファンへただいまの一打―。日本ハム森本稀哲外野手(27)が6回、1死満塁から右中間へ勝ち越し2点タイムリーを放ち、チームを勝利に導いた。左手甲の骨折から復帰3試合目での初打点。首位西武をたたく値千金の一打を、「必殺!

 愛の波動砲返し!!」と命名するなど、はつらつしたプレー同様、明るいキャラも戻ってきた。

 北海道のファンへ向けた“ただいま”のお立ち台で、森本は高らかに宣言した。「1カ月休んでいる間とこの3連戦で、自分のスタイルを見つけました。それは派手で目立つ脇役。そのスタイルに没頭していきたいと思います」。初めて経験したシーズン途中の離脱で、ひと周り大きく成長し新境地を開いた。

 スタンドが総立ちになったのは同点に追いついて、なお1死満塁の6回。小野寺の変化球を右中間深くへと運ぶ適時二塁打。何度も右拳でガッツポーズをつくると、ひじ当てを取りにきた清水外野守備走塁コーチを持ち上げて喜んだ。「振ったら当たった。自分の打席までにいい感じで点が取れていましたから」。6安打を集中させたビッグイニング。ベンチで飛び交う「相手がホームランならこっちは単打でいこう」という言葉通り、“ヒーローになった脇役”は全員野球の1ピースになった。

 鎌ケ谷でのリハビリ中、「この期間をどうプラスにしようか」ということだけを考えた。1度もネガティブにならなかったのは、家族の存在も大きい。実家が関東にあるため、顔を出して食事をともにした。「世界で一番おいしい」という祖母の手料理。骨折した自分を気遣って魚料理がメーンだった。「みんなに感謝です。ホッとしました。(3連敗なら)いてもいなくても同じだろと思われるところだったから」。周囲から愛される脇役は、時に主役を奪う輝きを放つ。【本間翼】