<オリックス6-2日本ハム>◇19日◇スカイマーク

 我慢比べに屈した。日本ハム多田野は、憤りを隠すかのように冷静沈着だった。プロワースト5失点での3敗目。まるでベテラン評論家のように、努めて淡々と敗因を分析した。「どちらが踏ん張れなくなるかの戦い」。オリックス山本と4回まで緊迫した投手戦も、終わって見れば完敗。マウンドで自身が見極めていたはずの分岐点で、取り乱した。

 5回1死。0-0の均衡が破れない中、勝敗を分けるベクトルは、一気にオリックスに傾いた。日高に真ん中やや内寄りの直球を、右翼席まで運ばれた。先制ソロを献上し、この回2失点。「立ち上がりからうまく入れたけれど、相手の投手もすごく良かったので、抑えないといけなかった」。そのリズムがずれると、歯止めが利かなくなった。

 プロ入り最多タイの7奪三振も、6回を持たずKO。その6回に両リーグトップ7個目のボークを出した直後、表情から明らかに怒りがにじみ出ていた。日高には、梨田監督からプロ初の敬遠の指示を出された。直後に決定的な連打を浴びた。「リズムとかテンポを敏感に感じる選手」。厚沢投手コーチが指摘したプラス、マイナスの両面ある“負”の一面をのぞかせ、最終的には自滅だった。

 プロ1年目ながら5勝3敗と、堂々の成績を残している。だが元メジャーリーガー、28歳。年俸も新人としては破格の3000万円だ。ダルビッシュが約1カ月離脱する8月は、先発陣の柱とも期待される。吉井投手コーチが「彼もルーキーではないので」と言うように、求められる役割は大きい。マウンドに立っている時でだけではなく、日本のプロで生き抜くための“我慢比べ”に勝たなくては、次のステップは見えてこない。【高山通史】