<広島11-5中日>◇13日◇広島

 中日の新1、2番コンビ「イバノリ」のアベックアーチが空砲となった。1番に井端弘和内野手(33)、2番に中村紀洋内野手(35)が並ぶ新オーダー。井端が初回に5号プレーボール弾、中村紀はプロ初の打順で2回に21号2ランを放ったが、先発中田が5点リードを守れず5回6失点でKOされた。痛い逆転負けとなったが、12球団最多5人が代表入りした五輪期間中は、あの手この手でしのぐしかない。

 落合監督はいつもの淡々とした口調だった。「何が起きてもおかしくないのが野球。それ(ミス)をやったら負けるということ」。2回まで大量5点リードを奪いながらの逆転負けを、冷静に受け止めた。

 序盤は効果的な一発攻勢をかけた。まずは初回先頭の井端が、広島先発牧野の初球の136キロ直球を左翼に運ぶ5号プレーボール本塁打。00年10月9日広島戦(広島)で黒田(現ドジャース)から放って以来通算2本目の先頭打者弾だ。「この前もここで打ったのは何となく覚えている」。珍しい一発で先手を奪った。

 続いたのはプロ初どころか「生涯で初めてやわ」という2番に入った中村紀だ。3-0の2回1死一塁から左翼に21号2ラン。昨季の20本塁打を上回って「体が自然に反応した」と話した。

 落合監督ならではのびっくり采配だった。本来は井端と1、2番コンビを組む荒木が北京五輪参加で不在。前日はデラロサを初めて「2番」に置いた。機能しないとみると、すかさず次の手を打った。チーム2位の10犠打を記録している中村紀を「つなぎ役」に起用。中村紀は「バントはうまいからね。今日は2番の役割はできたかなと思う」。本塁打以外にも3四球を選んで出塁した。

 逆転負けを喫したが、指揮官は中村紀の2番について「1番の適任じゃないか」とニヤリ笑った。12球団最多5人が代表入りした五輪期間中は、何が飛び出してもおかしくない。【益田一弘】