<西武2-7楽天>◇26日◇西武ドーム

 北京五輪で凡フライを落球した西武G・G・佐藤(30)も、先発しフライをキャッチしてガッツポーズ。元気に復帰した。

 当たり前のことが、うれしかった。五輪帰りのG・G・佐藤が、本職の右翼で先発出場。2回、フェルナンデスが打ち上げた飛球をキャッチすると、思わずこぶしを握っていた。「西武ドームの空が、北京の空に見えました」。五輪で落球した不安が頭をよぎったが、悪夢を乗り越えた。その後2度の打球処理は、吹っ切れたように軽快にさばいた。再出発を誓う小さなガッツポーズだった。

 約1カ月ぶりの復帰戦。西武ドームで名前がアナウンスされるたびに、誰よりも大きな拍手が起こり「声援が温かかった」と感謝した。「やっちまったなあ」と、五輪のミスを笑い飛ばしてくれるナインの言葉も心に染みた。失意の北京から帰り、本拠地は優しく迎え入れてくれた。

 「いじられる方が明るく迎えられる。心の肉離れはなかったよ」。精神面のショックを心配していた渡辺監督もひと安心した。失敗を責めず、ミスしたら取り返せがナベQ野球。不完全燃焼だった五輪の悔しさは、シーズンで晴らせばいい。「野球で取り返すしかない」と気持ちの整理はついた。二塁打を放つも試合には敗れたが、取り返すチャンスはこれからいくらでもある。【柴田猛夫】