<阪神1-6巨人>◇31日◇甲子園

 金本のいら立ちは頂点に達していた。前日、グライシンガーに8回1失点と抑えられたのに続き、内海も打ち崩せなかった。エース格が相手になると、打線は元気を失う。積もり積もったストレスを思わずぶちまけた。

 金本

 今まで勝ってきたのも、たまたまや。スターティングメンバーを見たら、どこに力のあるバッターがおる?

 うちは弱いんや。

 首位をひた走ってきたチームの主砲がまさかの「弱い」発言だ。新井が腰の疲労骨折で離脱し、衝撃を与えたが、林、関本らの活躍でしのいできた。しかし力のある投手を前にしては、ごまかしはきかない。試合の流れを劇的に変える破壊力のある外国人もいない。これまで窮地になると、あえて厳しい言葉を投げかけ、金本はチームを引き締めてきた。巨人に6差まで迫られた今回も、その意味合いはあるが、焦燥感もにじみ出ていた。このままで、日本一を目指せるのかと、危機感をあらわにした。

 この日の攻撃を振り返ってみる。金本自身はまともに勝負してもらえず、2つの四球を選んだ。唯一の得点シーンとなった4回も2本の内野安打と押し出し四球によるもの。チャンスを作れないわけではないが、あと1本が出ない。迫力不足は明らかだ。

 岡田監督も「打てんなあ。対策と言うても、昨日のグライシンガーもそう。3連戦で絶対に来るんやから」とやるせない表情。今は「弱い」という現状を冷静に見つめ、打開策を練っていくしかない。マジック「25」と目指すべきゴールは見えているが、新井不在の打線も、大きな課題を抱えることになった。【田口真一郎】