日本プロ野球組織(NPB)の実行委員会が1日、東京・内幸町のコミッショナー事務局で行われ、第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の監督人事を加藤良三コミッショナー(66)に一任する方針が固まった。前年あるいは前々年の日本シリーズ優勝監督が務めるなど具体的な選定ルールも議論されたが、時間的な問題を理由にルールの確立は見送りとなった。遅くとも今月中の一本化をめどに、加藤コミッショナーが先頭に立って監督候補の絞り込み作業に入る。

 5時間に及ぶ会議後の会見で、加藤コミッショナーはWBC監督問題のリーダーシップをとる決意を述べた。「要するに勝てる、強いチームづくりという認識で一致した。ただ準備のために残された時間は少ない。可及的に速やかに固める必要がある。実行委員会だけでなく、有識者や関係者に意見を求めることが大事」。監督候補の具体的な名前は出なかったとし、選考方法についても具体的な手順は示されなかった。コミッショナーが先頭に立ち、各方面の意見を吸い上げて一本化するという方針だけがはっきりと示された。

 5時間に及んだ実行委員会だが、8個の議題の1つであるWBCの監督問題は40~50分にわたって議論された。前年あるいは前々年の日本シリーズ優勝監督が自動的にWBC監督に就任するという制度を中日が唱え、ソフトバンクなど3球団ほどが賛同した。日本ハムは選考委員会を設置して議論するという意見を提出した。だがいずれも、ルールづくりや委員会の設置などにあてる時間がないとの理由で見送られた。事実上、今回に関しては却下された形となった。

 北京五輪の影響で、9月上旬には王監督の就任が正式発表された第1回のWBCに比べると監督選考作業は遅れている。早急に候補を一本化するため、中心とされたのが加藤コミッショナー。折しも加藤コミッショナーは今月に10試合の公式戦視察を予定しており、積極的に各球団の首脳と顔を合わせる。そうした各方面の関係者との対面、ヒアリングを経て、NPBとしての意見をまとめ上げることになる。

 「有識者」の一人であり加藤コミッショナーとも親交の深いソフトバンク王監督は、前回の経験を踏まえて「現役の監督は大変ですよ」と一貫した考えを述べている。この日の時点で具体的な名前が浮かび上がってはいないが、現役監督が敬遠されるとなれば星野監督が自然と中心視される。ただ加藤コミッショナーは「特別な試合ですから勝つためのベストの体制、人選をしないと。すべてはこれから」と、あくまで白紙を強調した。注目される監督人事は、新コミッショナーのもとで動きだした。【大塚仁】