<オリックス6-2西武>7日◇京セラドーム大阪

 強いオリックスが、首位西武に勝ち越した。先発の金子千尋投手(24)が、7回2/3を7安打2失点。好調打線は11安打で西武投手陣を打ち崩し、6-2と快勝した。前日は連勝が7でストップしたが、強い勝ち方で西武との3連戦に勝ち越して2位をキープ。金子は2ケタ10勝目で、チームに7年ぶりの「複数2ケタ投手」をもたらした。

 マウンドの金子に清川投手コーチが近づいてくる。2点目を奪われた直後の8回表1死一、二塁。打席には本塁打キング争いトップの中村が仁王立ちしている。「行けよ。任せたよ」と同コーチに託され、力勝負を決意する。カウント2-2からの134球目は148キロ直球。空振り三振で、この日の役目を終えた。小松に次ぐチーム2人目の2ケタ勝利に到達した。

 壁を越えるため内角を攻めた。中村には今季3割以上の打率を残され、5月の同戦では頭部へ危険球を与え退場。前日6日には山本も被弾した。「西武の打者は外を狙っていると思った。右打者にも内角にチェンジアップを投げた方がファウルになるという考えがあった」と振り返る。1打席目の対戦でも内角チェンジアップでカウントを奪い、最後は懐をえぐるシュートで空振り三振を奪った。

 8年連続Bクラスの長いチーム低迷もあり、2ケタ勝利を挙げた投手が複数になったのは01年以来17年ぶりとなる。「結果的にはうれしいですけど、今日の試合は連勝の後に連敗だけは絶対したくなかったし、考えている余裕はなかった」と話す。規定投球回数に到達も、唯一完投がないが「完投したかったけど、球数が多かったし、まずチームが勝つことが1番ですから」と悔しさを隠した。

 首位・西武戦の勝ち越しは3月の開幕以来7カードぶりとなった。2位で終わればCS第1ステージを京セラドームで迎えられる。金子は今季の6勝を同ドームで稼ぎ「ホームだしファンの声援がある。マウンドも投げやすい」と話した。

 大石監督は「金子がよく投げた。そういう投手(2ケタ勝利2人)が出てくるからこの位置にいる。(金子は)エース級の素質は十分ある」と目を細めた。まだ真のエースではない。内角を攻め抜く背中を見せ続ければ、称号は勝手に付いてくる。【今井貴久】