<オリックス6-1日本ハム>20日◇京セラドーム大阪

 2度、2ケタの大台挑戦に失敗していたオリックス山本は、届いた10勝にも淡々としていた。「サラッといきたかったんですけど。これまでは先制されてきたし、初回からぶっ飛ばしていこうと思った」。低めのボールを動かす。自ら「ゴロキングを目指す」と言うように初回は3つの二ゴロで好スタート。7回途中1失点での到達だった。

 チームでは99年以来となる2ケタトリオ誕生となった。小松、金子に次いだが「1等賞を狙ったんだけど、やっぱり3着になっちゃいました」と、8月30日以来勝てなかった苦悩など見せない。前回13日の同戦(札幌ドーム)後、トレーニングコーチと相談し調整法を変更。終盤に来ての、賭けだった。

 登板翌日は通常、軽いジョギングで疲労を除去する。だが今回は400メートルを10本も走り抜いた。「頭が真っ白になるぐらいでいこう」とフル回転してきた体にムチを打ち、壁を乗り越えようとした。大石監督からも「ここまで投げてきたから結果はいい。使うから」と言われ、楽になった。

 慶大出身投手として40年ぶりの2ケタ勝利は、チーム7年ぶりの70勝と重なった。大石監督も「よく省吾がリベンジしてくれました」と目を細める。進出決定間近のクライマックス・シリーズでも、山本が相手打線を翻弄(ほんろう)する。【今井貴久】