中日がフリーエージェント(FA)権を持つ岩瀬仁紀投手(33)に、複数年契約を準備していることが25日、分かった。西川社長は「複数年は検討する。ひとつの区切りは4年」と明言した。岩瀬は昨オフ、4年契約と1年契約を提示されたが、FA権を行使しないままで単年を選択している。球界を代表する守護神の流出阻止に向けて、球団が今オフに長期契約を提示する可能性が出てきた。

 前人未到の10年連続50試合登板を目指す岩瀬に、昨年に続いての長期契約が準備される。西川球団社長はこの日「複数年は検討する。ひとつの目安は4年でしょう。しっかり話し合っていく気持ちがある」と話した。今年11月に34歳になる岩瀬に対して、2012年までの現役を保証する複数年契約を検討していることを明かした。

 さらに西川社長は、複数年契約の年俸についても言及。「年俸は変動性になるでしょう。活躍すれば上がるし、活躍できなければ下がることになる。それが普通の形」と話し「変動性」を採用する考えを示した。

 岩瀬はFA権を初めて取得した昨オフに4年契約を提示された。しかし悩んだ末に「変動性」に疑問を抱き、1年勝負での単年契約を選んで、FA権行使の可能性を残した。今夏にはFA権について「まだわからないが、去年のようなことにはならないと思う。FA権を使うかどうかは、もう今年ではっきりさせたい」。依然として“変動性”というネックは残るが、自身の年齢も考慮して、最終決断を下す考えを示している。

 岩瀬は現在47試合に登板して3勝3敗32セーブ、防御率2・40を記録。日本代表で臨んだ8月の北京五輪では0勝3敗と打ち込まれた。それでも帰国3日後の8月27日阪神戦でセーブを挙げ、タフネスぶりを証明した。落合監督も「うちは岩瀬にどうつなぐか、というチーム」と絶大な信頼を置いている。昨オフの契約更改時には「基本的に最後まで中日で」と話した守護神の流出阻止へ、球団は最大限の誠意を示す構えだ。