<ヤクルト2-2阪神>◇4日◇神宮

 岡田監督キレた!

 阪神はヤクルトと延長12回の末、2-2で引き分けた。デーゲームで巨人が負けたため、0・5差で単独首位にはなったが、優勝マジックの点灯はなし。さらに試合後、引き揚げる際にファンから飛んだヤジに岡田監督が激怒して詰め寄るトラブルまであった。それもこれもスッキリしない試合が続いているためだ。5日こそ勝ってマジックを再点灯させたい。

 岡田監督が我慢の限界を超えた。延長12回引き分けでクラブハウスに引き揚げる三塁スタンド前。勝てない試合後に怒号が飛ぶのはよくある光景だが、あまりにしつこかった。最前列の男性は黄色いメガホンで、延々と岡田監督をヤジっていた。

 「オカダーッ…選手を信頼しろー…球児がつぶれてしまうぞー」。足を止め、声を張り上げる男性をにらみ返した。それだけでも岡田監督には珍しいことだった。1度はやり過ごそうと歩き出したが、ヤジが止まらない。とぎれとぎれに聞こえる内容は、中継ぎ投手の登板過多に対する批判だった。それは許せなかった。

 「コラーッ、誰に対して言っているんや!」。ネット際まで詰め寄り、指をさし、激しくやり合った。審判への抗議でも出したことがないような甲高く、激しい声音だった。あまりのけんまくにヤジの男性は敬語になり「応援しているんじゃないですか」。それでも岡田監督は「言い方ってもんがあるやろ!」と怒りが収まらなかった。

 球団広報、球場係員になだめられて引き揚げた。周囲の観客が「お前が悪い、監督に謝れ」などとヤジの男性に言う。通りかかった藤川も「帰れ」というポーズで加勢しようとした。騒然としたムードはとても、死闘を終えたばかりの首位チームを取り囲むものではなかった。

 「中継ぎはみんな、あんなもんじゃないからな。普通に投げればな。今までそないして抑えてきたんや」。試合後の会見で、奮闘した投手陣をたたえた。「信頼」をして「つぶれない」よう使った結果が、前日3日のまさかの逆転負けと、この日のドローだった。連勝していれば巨人との差は2ゲームとなり、マジックは4になっていた。思うように事が運ばないいら立ちがあふれる寸前だった。

 巨人とのデスマッチが続いている。限界を超えた戦い。阪神が残り6戦、巨人が5戦の勝ち星勝負で決着がつく。現状は半歩リードの単独首位に立った。それ以上もそれ以下でもない。【町田達彦】