<巨人3-4中日>◇4日◇東京ドーム

 中日山本昌投手(43)は、気迫と経験をボールに込めた。0-0の初回2死一、三塁で打席には5番李。フルカウントから直球勝負。外角低めへの142キロのストレートで見逃し三振に仕留めた。「思い通りのコース。僕のキャリアの中でもトップクラスのボール」と胸を張った。4回、小笠原に35号ソロを浴びたが崩れない。勝ち負けはつかなかったが、7回5安打1失点と好投した。

 前回登板の9月17日阪神戦後、背中に違和感を覚えた。無理をせずにしっかり回復させてから、中16日で先発。「久しぶりだから感覚があわなくて。調子自体は良くなかった」。それでも初回のピンチを切り抜けると、グライシンガーと投手戦を展開して7回を5安打1失点。今季3勝1敗と相性のいい巨人を相手に好投。「苦しかったけど、ぼちぼちは投げられた」。103球を投げたことで登板ブランクによるスタミナの不安もぬぐい去った。

 満を持してポストシーズンを迎える。昨季は2勝10敗と大不振。CSも日本シリーズも出場できなかった。53年ぶりの日本一に貢献できずに「これまでで一番悔しかったのは去年」と口にしたことがある。今年はローテの軸として胸を張って臨む。

 「今日でCS出場が決まったからね。日本シリーズに出るには、ここを通らなきゃいけない。巨人と阪神を勝ち抜けば、いける」。念願の200勝を達成した山本昌にとって、最大の目標は日本シリーズ初勝利。ベテラン左腕が、プロ25年目の“初白星”を目指して突っ走る。【益田一弘】