<ヤクルト3-1阪神>◇6日◇神宮

 阪神打線の浮沈は新井が握っていた。あらためて、それが浮き彫りになった試合だ。初回に三塁への併殺打から始まり、この日もバットは湿った。2戦連続のノーヒット。11打席で快音が聞けない。1軍復帰後の4試合は好調だっただけ、急ブレーキが余計に落差を感じさせる。「何もない、何も…」。ぶぜんとした表情を崩すことなく、帰りのバスに乗り込んだ。一時の不振で責めるわけにはいかないが、3番打者の沈黙は痛かった。

 腰の疲労骨折の判明から、急ピッチのリハビリ。わずか1カ月で戦列に復帰した。実戦不足を感じさせないスイングを見せてきたが、病み上がりの体には過酷なマッチレースだ。広沢打撃コーチは「ちょっとバランスを崩している。明日、話をするよ。本人も分かっていると思う」と心配した。5回2死一、三塁では空振り三振で、追撃ムードを消した。他の打席は3つの内野ゴロと内容は良くない。

 新井にはカンフル剤としての活躍が期待されていた。夏場から、シーズンの最終局面まで「モヤモヤ」が続く。貧打が解消されたと思うと、元の状態に戻る。前夜は鳥谷のタイムリーやバルディリスの3ラン、さらに相手の拙守もあり、8得点を挙げた。これで勢いに乗るはずが、事態は簡単ではなかった。9イニングで1度も無死からのヒットがなかった。これではチャンスは広がらない。岡田監督は打線の話題になると、表情が曇りっぱなしだ。「単発やからな。ノーアウトはなかったんちゃうか。ここまで来たら、同じことを言っても、しようがないが…」。7安打を放ったが、得点は金本のソロアーチだけ。

 残り4試合。打開策を練る時期は過ぎた。猛虎打線の最後の底力を信じるしかない。【田口真一郎】