巨人との日本シリーズを制し、日本一に輝いた西武が早くも来季の戦力補強に動き始めた。横浜から戦力外通告を受けた土肥義弘投手(32)を獲得することが10日、明らかになった。渡辺久信監督(43)が先発、中継ぎを器用にこなせる左腕を「再生」する。土肥は98年から04年途中まで西武に在籍。主に左打者キラーとして中継ぎの柱を担っていた。今季、ウイークポイントだったリリーフ陣の戦力として期待される。

 連覇へ向けての戦いはもう始まっている。西武が日本一達成から一夜明け、今季苦しんだ反省材料の解消に即座に乗りだした。10月1日に横浜から戦力外通告を受けていた左腕土肥を補強第1弾として獲得する方針を固めた。

 球団側は、土肥が横浜から戦力外を通告された直後から調査を開始。今季8試合で勝ち星がなく、6月中旬から左ひじ痛のため2軍調整していたが、故障が完治していることを確認。9月26日のイースタン・リーグのロッテ戦にも登板しており、球団編成本部は渡辺監督の下で「中継ぎで再生可能」と判断した。

 今季の先発陣は涌井、岸の若い柱に、FA補強した石井一が加わるなど軸が形成された。一方でリリーフ陣は年間を通して整備できなかった反省がある。守護神グラマンの残留が濃厚で、投手王国の復活を目指す中で来季は中継ぎの補強が絶対条件といえる。現時点の中継ぎ左腕は星野、三井がいるが、土肥の加入によって戦力が充実する。

 渡辺監督は、現役時代の晩年にヤクルトで1年間プレー。当時の野村監督(現楽天)が最盛期をすぎた選手を次々と復活させた「野村再生工場」の指導法を肌で学んだ。土肥獲得は、指導者として尊敬する野村監督の帝王学を実践する機会にもなる。

 優勝一夜明けの渡辺監督は、都内のホテルで正午まで休養。スポーツ紙に目を通し「あらためて(日本一の)実感がわいてきた。本当に優勝したんだね」と、静かな笑みを浮かべた。来季の補強戦略については「どうなるのでしょう」と明言を避けたが、明るい将来像を描く姿勢に揺るぎない。

 まずは13日からのアジアシリーズに気持ちを切り替える。「日本の代表チームとして出る以上は精いっぱいやりたい」。パ・リーグ制覇、日本一に続く3冠奪取を目標に掲げた。