石井でCS突破じゃ!

 来季のAクラス進出を狙う広島が「CS補強」に成功した。12日、横浜から戦力外通告を受けた石井琢朗内野手(38)と来季の契約を結ぶことを発表。球団は98年の横浜優勝の原動力となった経験を高く買っており、今季142試合目でCS進出を逃したチームの戦力になると判断した。7番など下位打線でのポイントゲッターの役割を期待。手薄な三塁のレギュラー候補に浮上した。

 百戦錬磨のヒットマンが「CS請負人」になる。横浜の戦力から漏れていた石井琢朗の広島入団が決定。98年にリードオフマンとして横浜マシンガン打線を引っ張り、Vの原動力になった経験を高く評価された。上位進出を願う松田オーナーの期待も大きい。

 松田オーナー

 優勝を経験しているベテランが内野に1人いればいい。プレッシャーがかかるなか、下支えしてくれる選手。(シーズン終盤の)順位が競ったときにすごく役に立つと思う。苦しさに耐えうるね。

 今季の広島はCS進出に1歩及ばなかった。ペナントレース佳境で中日と激しくCS切符を争ったが、9月から10月にかけて3連敗したのが大きく響いて、142試合目で敗退。97年以来、Bクラスに甘んじており、大一番で勝ち抜く「底力」が足りなかった。91年の優勝を経験しているのは前田智と緒方の外野手2人だけ。ダイヤモンドを守る内野手には不在だった。大一番では守備がペナントの行方を大きく左右する。石井には「優勝哲学」の内野手への注入や精神的支柱としての役割も期待される。

 松田オーナー

 (打順について)7番とか、9番とか、やり方はある。(打線が)途切れるところでかえしてくれればいい。シーズンの最高は何打点じゃ?

 それをクリアしてほしい。

 広島には東出を筆頭に天谷、赤松ら若手の「俊足巧打タイプ」がそろい、来季も1、2番に座ることが濃厚。石井自身も同じプレースタイルだが、新天地ではポイントゲッターの役割を期待されている。99年にマークした年間自己最多の58打点超えがノルマになる。

 石井は若返りを図る横浜のチーム方針のため、10月に戦力外になった。その後は横須賀のベイスターズ球場などでトレーニングを重ねてきた。この日も練習を実施。胸をなで下ろした。

 石井

 正直、ホッとしています。戦力として認めてもらった上で獲ってくれたことがうれしい。これからはカープの力になれるよう、一から頑張ります。

 ゴールデングラブ賞に4回輝いた守備面でも期待は大きく、同オーナーは「サードをやってもらおうと思う」と構想を語る。新球団元年の来季、攻守のバランスに優れた名球会選手が広島をAクラスに導く強力な戦力になる。【酒井俊作】