中日中村紀洋内野手(35)が15日、FA権を行使することを表明した。今年4月に権利を再取得しており、02年に続く2度目の行使となる。複数年契約と三塁のポジションを希望していたが、落合監督から三塁失格を明言され、球団との下交渉では単年契約の年俸7000万円の条件を提示され保留していた。(金額は推定)

 中日に骨をうずめると思われていた中村紀がFA宣言した。「残りわずかな野球人生に悔いを残さないように決断しました」。関係者によれば、今季終了後に球団との下交渉で単年契約の年俸7000万円の条件を提示されたが、保留。今月12日に名古屋市内で井手編成担当と会談した際にFA宣言の意思を伝え、必要書類を提出したという。

 中村紀は移籍条件について「手を挙げてくれる球団があればありがたい。できるだけ長くやりたいと思っているので複数年はありがたい」と複数年契約を挙げた。また三塁の定位置も希望。「まだ動ける。うまくなりたいと思っている。三塁にプライドがある」と言う。獲得意思を示した全球団と交渉する姿勢を示し、海外移籍は考えていない。

 07年1月にオリックスを自由契約となり「野球浪人」の危機を迎えたが、入団テストを経て中日と育成契約。開幕直前に支配下選手登録された。53年ぶり日本一の原動力となり日本シリーズMVPも獲得。権利を取得した今年4月には「FAには興味がない」と話していた。

 急転の裏には361本と迫った通算2000本安打到達への思いもある。今季は140試合で2割7分4厘、24本塁打、72打点だったが、シーズン後に落合監督から三塁失格を明言された。来季は新外国人選手と一塁を争う状況だった。

 今季年俸5000万円は新FA制度でCランクとなり、他球団は補償なしで獲得できる。「中日に不満があるわけではない。監督にチャンスをいただいたことに感謝しています」と宣言残留の可能性もわずかに残るが、中日を上回るオファーが届けば移籍が濃厚だ。