OB会総会に出席した真弓明信監督(55)も、三浦の横浜残留の報に落胆の色を隠せなかった。大阪市内のホテルでソファに座り、深いため息をこぼした。「残念です。想像もしていなかった」。就任会見ではFAで先発投手の獲得を球団に要望したほど。無念の結果に絶句した。

 しかし嘆いても、事態が変わることはない。すぐに前向きに気持ちを切り替えた。「若い人をしっかりと育てろ、ということじゃないか。若い人には最大のチャンスだから」。秋季キャンプで評価した白仁田や黒田ら若手投手陣の育成により力を入れる決意を固めた。

 そのひとつの動機づけとなるのが、エースナンバー争奪戦のプランだ。今季限りで杉山の背番号18をはく奪。三浦のために空けたが、次に誰が背負うかは未定。「そう(競争)考えれば、1年間空けてもいいかな」と指揮官は言う。沼沢球団本部長も「争奪戦でもいい。再来年以降につけてもいい」と同調。来季活躍した若虎のご褒美として、エースナンバーを贈呈する可能性が浮上した。三浦の決断は阪神にショックを与えたが、これを機に新エースが誕生すれば、傷も十分に癒えるはずだ。