阪神矢野輝弘捕手(39)が4日、大阪・箕面市の萱野小学校に招かれ、中学生のころの夢だったという「先生役」を務めた。父母、教員、児童生徒の交流を深める総合学習の一環として、約600人の前で自身の体験談などを語った。

 六甲おろしの大合唱に始まり、先生はタテジマのユニホーム姿という大歓迎。6年生と父母相手の「授業」では引退後の話、トレード時の感想など、きわどい質問にタジタジ。そして「嫌いなチーム」を問われたときは「ジャイアンツ」と苦笑しながら即答した。

 「ジャイアンツだけは意識しますよね。常にトップを走っているチーム。ジャイアンツを倒さないと優勝もできない」。質問会を終えても「巨人を意識して戦うのは当たり前。逆転して優勝されたのだから常に意識して戦うべき相手」。歴史的V逸を許した宿敵への雪辱を誓った。

 北京五輪の韓国戦前日は一睡もできず。シーズン中は引退すら頭をよぎったことを告白。「年齢的には引退が確実に近づいている。調子悪いのが続いたりしたら辞めた方がいいのかなと思ったことは何度もある」。それでも子どもたちへ目標達成に「あきらめないこと」の大切さを説いた。

 だからこそ、現有戦力の底上げに燃える。「育てないかんと思う。外から連れてくるのも大事かもしれないが、若いのも中堅でもベテランでもみんな頑張ってもらわないと。今年よりプラスアルファするのが自分に課せられた仕事」。自身は先週右ひじを手術したばかり。第2捕手だった野口は横浜へFA移籍が決まったが「やってる時は自分が出てやることしか考えてないからね」と、正捕手のプライドをのぞかせた。【片山善弘】