暗い助っ人はいりません。阪神は24日、新外国人選手としてケビン・メンチ外野手(30=ブルージェイズ)と契約したことを発表した。単年契約で、推定年俸は出来高込みの総額200万ドル(約1億8000万円)。背番号は「32」に決定。メンチは球団広報を通じて「初めての海外でのプレーにワクワクしています」とコメントを寄せた。南信男球団社長(54)は、最終候補の中から「明るいキャラクター」という理由でメンチを選んだことを明かした。

 ジョークみたいな、本当の話だ。南球団社長は、新助っ人メンチをリストアップし、本命候補に絞り込むまでの過程を明かした。チームの補強ポイントと合致すること。野球の技量が優れていること。この2点に加えて、性格が重視された。

 南社長

 8月から調査してきた。調査で(選手の性格を)調べてこい、と言いました。日本向きというか、明るいキャラクターということでした。(最終候補の中で)1人は割合に神経質というか、慣れるのに時間がかかる、落ち込むとスランプが長い、そういう選手もいましたから。

 異国でプレーする上で、明るい性格に越したことはない。メジャー通算89発男は、ファンの期待とプレッシャーにさらされる。今季加入したフォードは調子を崩して、長いスランプに突入した。闘志が表に出ないプレースタイルもありわずか1年で帰国。南社長は「今年もフォードがもう少し打てば楽になったけど…」と振り返った。

 逆に巨人ラミレスのように環境が変わっても陽気なタイプもいる。阪神もラミレスタイプの助っ人を求めた。メンチはこの日「初めての海外でのプレーにワクワクしています。日本でプレーしている多くの選手からタイガースは素晴らしく、常に優勝を狙える球団だと聞いています」と前向きで明るいコメントを寄せた。

 もちろん性格だけじゃない。本塁打はレンジャーズ時代の04年に26本、05年に25本をマーク。南社長は「日本の(狭い)球場を考えれば30本は打てる。変化球打ちがうまく、三振が少ないことも決め手。打率を残すタイプの方が日本にはいい」と新外国人を評価した。球団が提示した2年契約を蹴って、単年契約でサイン。単年のメリットは初年度に活躍した場合、2年目に年俸の大幅アップを要求できること。その積極的な考えに「自信があるんかな」と南社長は期待を寄せた。

 「とにかくキャンプで自分のバッティングをしっかりアピールし、優勝に貢献できるよう全力でがんばりますので、ファンの皆さん応援よろしくお願いします」とメンチ。ネアカ助っ人に期待されるのは周囲に「メンチ」をきる険しい顔でなく、前向きにプレーする陽気な顔だ。【益田一弘】

 [2008年12月25日9時51分

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