ロッテが、フィリーズを退団した井口資仁内野手(34)獲得へ、2年総額4億円と「指導者手形」を用意していることが2日、明らかになった。井口は昨年中の移籍決定を目指してオファーを待っていたが、現時点で米国から具体的な話はない。日本では複数球団が水面下で獲得に乗り出していることから、ロッテも高条件で本格交渉に臨むことになった。今月初旬に石川晃副代表が本人と直接交渉を行う。

 ロッテが井口に「終身雇用プラン」を用意する。3日に滞在先の米国から帰国予定の井口に対し、最大限の誠意を示す方針を固めた。井口の実力だけでなくメジャーでの経験や人間性も高く評価しており、将来的に引退後はコーチなど指導者として球団に残る道を用意するという。球団幹部は「選手としても期待しているが、その後もロッテを引っ張る存在になってほしい」と、球団あげての熱意を口にした。

 というのも、球団は昨年12月にバレンタイン監督の今年限りでの退任を早々に発表した。監督の高額年俸やフロントの意見に耳を貸さなくなった横暴な姿勢が要因だった。これを機に今年は「変革の年」と位置付け、チーム、フロント両面で大幅なテコ入れを行う。その第1弾として井口に白羽の矢を立てた。補強ポイントのセカンド強化だけでなくチーム活性化、さらにファンへのアピール材料にもなる。

 井口の08年年俸は385万ドル(約3億4650万円)だが、世界の金融危機の影響から米国市場では150万ドル前後まで抑えられるとの見方もある。ロッテは2年総額4億円を基本線としているが、昨年退団したズレータの年俸が2年総額5億2000万円(推定)だったことから、上積みの余地は十分にある。

 今後は、石川副代表が井口の自主トレ先である沖縄を訪れ直接交渉する。「日程を調整していますが1月上旬の早い段階で行きます」と、球団始めの5日にも動きだす構えだ。同副代表がダイエーのスカウト時代に井口獲得に尽力し、長年の信頼関係があることも大きな強みとなっている。日本の複数球団が水面下で獲得に乗り出す中、ロッテはマネーゲームではなく人脈と終身雇用プランで口説き落とす構えだ。

 [2009年1月3日7時3分

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