聖地に新名所が誕生する。阪神甲子園球場は21日、大阪市内のホテルで来年3月に新設する「甲子園歴史館(仮称)」の記者発表会を開いた。タイガースや高校野球などの歴史を伝えるのが目的で、スポーツ展示施設では国内最大級を誇る。関係者がガイド役を務めるスタジアムツアーを置くなど趣向をこらし、阪神ファンのみならず、野球ファンを満足させるプランを検討中だ。

 甲子園に新たな魅力が加わる。段階的に行っているリニューアル工事は来オフの外構整備で完了する。完了後の目玉となるのが「甲子園歴史館(仮称)」だ。来年3月、外野スタンドの1、2階部分に約5億円をかけて新設。面積1900平方メートルは、テニスコート7面分に相当し、東京ドームにある野球体育博物館を上回り、スポーツ施設としても国内最大級の規模を誇る。阪神タイガースや高校野球、球場の歴史資料などを展示する予定だ。揚塩(あげしお)健治球場長(48)は「(球場の)歴史を振り返る場所が今までなかった。野球ファンの裾野の拡大や文化の振興に貢献したい」と話した。

 歴史館と言えば、堅いイメージがあるが、ファンが楽しめるように趣向を凝らしている。「阪神タイガースの歴史」コーナーでは入り口にいきなりビクトリーゾーンを設置。2リーグ分立後、85年の日本一など過去5度の優勝シーンを連続して映像で流す。「気の済むまで見てもらって、最初から気持ちよくなってもらう」と同球場長は言う。永久欠番の藤村富美男、村山実、吉田義男の3氏を中心に、往年の名選手の紹介を充実させる方針。現役選手ながら、金本のお宝グッズ展示も検討している。

 球場初のスタジアムツアーも実施する予定。ボランティアガイドとして、元グラウンドキーパーや元広報担当ら関係者OBを候補に、ブルペンやベンチも含め球場内を案内する。阪神でプレーしたOBの起用もあるかも!?

 入館やツアーはいずれも有料だが、甲子園の新名所になることは間違いない。

 【甲子園歴史館の概要】

 ◆料金や場所など

 金額は未定だが、入館料500円、スタジアムツアーとのセット料金1500円を基本線に検討する。左翼スタンド1階にエントランス、ロビー、事務所。同2階に展示エリア、右翼スタンド2階に展示エリア、企画展示室、多目的ホールなどを設置。来館者数は年間10万人、ツアー参加者は2万8000人を想定。

 ◆「阪神タイガースの歴史」コーナー

 昨年7月まで球場内で開館していた史料館の展示物を引き継ぎ、さらに名選手や名試合を映像や写真、ユニホーム、バットなどを交えて紹介する。主な展示品として、85年に日本シリーズで優勝した際の優勝ペナント、同トロフィーなどがある。

 ◆「高校野球の歴史」コーナー

 春夏の甲子園の歴史を、歴代の大会で生まれた名勝負や名シーンで振り返る。全国の加盟校数にちなみ、約4000個のボールを壁面に飾る。全国選手権大会と選抜大会の初代優勝旗などを展示。

 ◆その他コーナー

 阪神甲子園球場の歴史。アメリカンフットボールの「甲子園ボウル」の歴史や名試合を紹介する。

 ◆スタジアムツアー

 球団や球場関係者OBがガイド役となり、ファンを案内する。歴史館からバックスクリーン下に通路を作り、試合のない日に球場内を見学できる。ベンチやブルペンもコースに入れる予定。

 [2009年1月22日10時40分

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