<オープン戦:中日3-5楽天>◇29日◇ナゴヤドーム

 オープン戦絶好調の中日藤井淳志外野手(27)が歴代最多3085安打の記録を持つ張本勲氏(68=野球解説者)に並んだ。楽天戦(ナゴヤドーム)の2回、ラズナーの初球を右前に落とし、65年、70年の張本(東映)らと並ぶ歴代3位タイの32安打で締めくくった。

 前日に94年のイチロー(30安打)を抜いたばかり。「僕と名前が並ぶのがすごい人ばかりなんで、正直うれしいです。それに張本さんはその年にすごい成績を残されているんですよね?

 だから並べたことでいいことがあるんじゃないかと思いたいです」と無邪気に喜んだ。藤井が言うように70年のオープン戦で32安打を放った張本はシーズンも打率3割8分3厘で首位打者を獲得している。

 オープン戦の成績がシーズンに直結する保証などどこにもない。06年、藤井は新人ながら開幕スタメンを勝ち取ったが、わずか4試合でスタメンから外された。プロ3年間の通算打率は1割7分9厘。ただ、オープン戦で32本のヒットを積み重ねたことは事実だ。前日の楽天戦、WBC連覇に貢献した先発田中と対戦。第1打席に三振したが、その際のファウルに楽天ベンチでは「あいつのスイングすごいな。オープン戦の成績はまぐれじゃないな」と声があがった。

 この日は3打数1安打に終わり、打率は3割9分5厘。西武栗山に逆転され、首位打者の座を明け渡したが、悔しがるどころか笑顔を見せた。「首位打者になれなくてよかったと思います。おごりにならないですから。僕には守るものも、失うものもない。シーズンも今と何も変わらずやるだけです」。首位打者のタイトルはシーズンで奪えばいい。【鈴木忠平】

 [2009年3月30日8時3分

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