<日本ハム7-8オリックス>◇14日◇札幌ドーム

 主役になる可能性があった中軸コンビは、いなかった。4点を追う9回。ルーキー大野のプロ初安打から無死満塁へチャンスが広がる。まず紺田の中犠飛で1点。さらに途中出場の森本の右前打が失策を招き、1点を追加した。なお二、三塁。本塁打ならサヨナラの場面で4番へ回ったが、その時、主砲スレッジはベンチに体を預けていた。

 野球の妙味を実証するシーンだった。8回先頭の稲葉が内野安打、続くスレッジが四球。代走に森本、糸井を送り込んだ。その時点で5点差。梨田監督が采配で、試合を動かした。この日も2安打と絶好調の金子誠が途中交代したため、代打出場した稲田が9回にチャンスメーク。代走&代打攻勢は成功していた。だが9回の勝負どころで4番に入っていたのは糸井。代打二岡の二ゴロでさらに1点を返すも、そこで追撃は途絶えた。

 劣勢に揺さぶりをかけたが、想定以上に好転しすぎたため、招いた結末だった。「札幌のファンに、ひちょりとか、そういう選手を見せようと思っていた」。梨田監督は、多くを語らなかった。大敗ムードから一転、オリックスの守護神・加藤まで引きずり出すほど、土俵際へ追い詰めはした。ただ結びの一番ともいえるシーンで、打線の両横綱は白熱の局面を“砂かぶり席”から見つめるだけだった。【高山通史】

 [2009年4月15日9時54分

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