<中日4-3広島>◇7日◇ナゴヤドーム
度肝を抜いた。中日トニ・ブランコ内野手(28)が、仰天の「天井直撃弾」を放った。
1点を追う4回無死一塁。広島前田健の初球の141キロを急角度で打ち上げ、左翼定位置上約50メートルの高さにつり下げられている「サテライトスピーカー」を直撃し、跳ね返ったボールは左翼、中堅、遊撃のまん中で大きく弾んだ。杉永二塁塁審が右腕をグルグル回し「認定本塁打」を宣言した。97年に営業開始されたナゴヤドームで初の快挙に、興奮が収まらない。
ブランコ
芯に当たったのでホームランになると思ったけど、それにしても高く上がったね。ボールがどこにいったかわからなかったので二塁まで全力で走ったよ。天井直撃弾?
打ったのは初めてだ。
35打席ぶりの1発で、トンネルを抜け出すキッカケとなる5号2ラン。打率が2割台前半に低迷し、落合監督の連日の打撃指導も結果に結びつかない。苦手のインコースを厳しく突かれ、外に逃げる変化球でかわされた。悩み、苦しんだ。プライドを捨て何度も早出特打を行った。3日の横浜戦には都内のホテルで自らの頭を丸刈りにして球場入り。ムードを変えようと必死だった。
敬虔(けいけん)なクリスチャン。朝起きて祈り、寝る前にまた祈る。球場入り後はトイレにこもって不振脱出を祈ってきた。「打てたのは神様のおかげだ」。上昇のきっかけをつかんだブランコが、神様を味方に今度は巨人投手陣に襲いかかる。【村野
森】
[2009年5月8日9時4分
紙面から]ソーシャルブックマーク