<ソフトバンク1-1阪神>◇19日◇福岡ヤフードーム

 勝利の可能性が消滅しても、阪神藤川球児投手(28)は無心で腕を振った。延長12回、ソフトバンク森本との対決は完全復活を感じさせるものだった。カーブと直球で追い込むと、最後は151キロ直球で空を切らせた。それぞれの球に鋭い切れ味があった。意外に少ないが、今季2度目の3人締め。「普段、あまり対戦しない相手なので」。控えめに振り返ったが、右ひじ痛による2軍調整から、2度目の登板で守護神は輝きを取り戻した。引き分け発進となった交流戦初戦で、大きな収穫を得た。

 ただ本当の意味での復活は、勝利の瞬間を迎える時だろう。「勝ちたかった…」。セーブがつく場面での登板は4月16日の中日戦を最後にない。13日の1軍合流後も貧打の影響でなかなか出番が回ってこない。しびれるような展開で、火の玉ストレートの再現-。ファンの待ち焦がれるシーンは間近だ。

 [2009年5月20日10時45分

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