3冠王いける!

 中日の4番トニ・ブランコ内野手(28)が21日、球団初の3冠王獲得に意欲を見せた。現在本塁打はリーグ1位タイ、打率は2位、打点も3位と、3部門すべてに手が届きそうな数字を残している。22日のロッテ戦(千葉マリン)に向け、21日は同球場で練習。「打率も、本塁打も、打点もすべてにこだわっている」と激白した。セ・リーグでは86年のバース(阪神)以来で、球団では初となる快挙も夢ではない。

 22日のロッテ戦を控えた練習日、初めて千葉マリンに足を踏み入れたブランコはエネルギッシュだった。フリー打撃では特有の強風をものともしない力強い打球をスタンドにたたき込み、さらにティー打撃を“おかわり”した。

 「最近は投手が高めに投げてくるからその対策だよ」。ここ12戦7発のB砲は好成績にも満足することはなく、対策に余念がなかった。

 5月に入って打率4割1分3厘、7本塁打、17打点と驚異的な数字を残しているブランコは現在、堂々の「月間3冠王」。今月の月間MVPの本命だ。そしてこの活躍によって壮大な野望が見えてきた。リーグではあのバース以来、23年ぶり、球団では初となる3冠王だ。

 ブランコは練習後、打撃3部門の目標を聞かれ、「打率も、本塁打も、打点もすべてにこだわる」と意欲を見せた。打率では1位の巨人坂本に5分4厘差、打点では阪神金本、巨人小笠原と6差があるが、B砲の特徴は中堅から右方向へ強い打球が打てること。パワーヒッターには珍しいこの特徴を生かしていければ打率、打点も伸びるはず。本塁打は同僚の和田と11本でトップに並んでいる。

 4月はわずか2割2分7厘だった助っ人が5月に入って大爆発した。この変化に石嶺打撃コーチは納得顔だ。「どんな練習でも、いつもいろいろなことを意識してやっている。1つのやり方だけじゃなく、いろいろなことを試しているから」。従来の打撃フォームからスタンスをオープンに変化させるなど周囲の助言を受け入れる柔軟性が好結果を生んでいるようだ。

 「やはり自分としては個人の記録よりもチームが勝つことの方が大事だと思っている。とにかく今はバットのしんに当てること。賞は神様が後からくれるものさ」。ひたすらにジャストミートを追求した先に3冠王が見える。米国2A出身、推定年俸2700万円の格安助っ人が、ジャパニーズ・ドリームに向かって本格的に走りだした。【鈴木忠平】

 [2009年5月22日11時32分

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