中日落合博満監督(55)が1日、連敗中のチームを立て直すべく精力的に動いた。甲子園屋内練習場で行われた2軍練習を視察し、英智外野手(33)の昇格を決定。その後行われた1軍野手の指名練習には野手コーチをあえて欠席させ、完全自主練習とした。さらに甲子園のグラウンドで投手陣と談笑し、ピリピリムードを一掃。この日ゲームがあった広島が勝ったため4位に転落したが、2日のオリックス戦(京セラドーム大阪)に向け、独特な手綱さばきでチームをリフレッシュさせた。

 落合監督は練習の始まる1時間半も前に、甲子園屋内練習場に姿を現した。練習着でなく、上下黒のジャージー姿。目的は、1軍の前に同練習場で調整していた2軍の視察だった。辻2軍監督らと話し込んだ後、帰りのバスに乗り込んでいた英智に手招き。降りてきたところで1軍昇格を告げ、2日から合流するよう指示した。

 指揮官の動きはこれだけではなかった。石嶺、川相、笘篠、早川、立浪コーチにあえて「出勤停止」を指示。自らも1軍の打撃練習を見守らず、野手陣を完全放任した。ここ6試合先発を外れているルーキー野本は「プロになってコーチに教えてもらわないのは初めて。自分で考えながらやりました」と話した。井上、森野、藤井、平田らは、互いに意見し合いながらフリー打撃、マシン打撃で快音を響かせた。

 落合監督は投手陣に対しても手を打った。甲子園のグラウンドで若手らの輪に入り、約15分間談笑。恐る恐る接する選手たちに穏やかな表情で語りかけ、重苦しいムードをぬぐい去った。中里は「昨日の(博多からの)新幹線は何時のに乗ったんだと聞かれました」と驚いた様子。ベテラン平井は「たまにこんな形で話をしてくれるんです。ボクらに伝えたいことがあったんだと思う」と神妙に話した。

 チームは波に乗りきれず、もがいている。5月30日は交流戦首位ソフトバンク相手に5点差を追いつきながら、突き放された。翌31日も3点ビハインドを同点にしながら敗れた。勝ち星が選考していた交流戦の貯金も使い果たし、セ・リーグ首位巨人とは8ゲームの大差。嫌なムードが漂っていた。

 落合監督は「今日は休み。だからこれ(ジャージー姿)」としか話さなかったが、この日の動きには立て直しへの強い決意がにじんでいた。打てる手はすべて打ち、2日のオリックス戦(京セラドーム大阪)で逆襲への再スタートを切る。【村野

 森】

 [2009年6月2日12時8分

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