<オリックス10-14中日>◇3日◇京セラドーム大阪

 中日が今季最長4時間43分の大乱打戦を制し、勝率5割に復帰した。先制して追いつかれ、突き放してはまた追いつかれる展開。貧打に苦しんでいた打線は今季チーム最多の19安打14得点と打ちまくり、10-10の8回、ベテラン谷繁元信捕手(38)の決勝タイムリーでケリをつけた。投打の歯車がかみ合わずに苦しんできたチームはようやく上昇気流をつかみ、5日からのロッテ戦に臨む。

 谷繁は鬼のような形相で外角スライダーをにらみつけた。これしかないという右狙いのスイングで一、二塁間にはじき返した。10-10の8回1死二、三塁。オリックス・レスターのカウント1-2からの4球目。悲鳴と歓声の中、一塁に駆け込んだ。センター後方の電光掲示板を見上げ、静かに勝ち越しを確認した。今季初の猛打賞に、今季初の決勝タイムリー。それでも、ニコリともしなかった。

 大乱戦の責任を感じていた。初回に森野の39打席ぶりアーチとなる7号3ランで先制したが、先発小笠原が2回に同点に追いつかれた。3回に和田の15号2ランなどで4点を勝ち越せば、その裏4失点。5回に3点取れば、その裏3失点でまたまた同点…。投手陣を導いてやれなかった。自らが4回に右前打、5回に左中間フェンス直撃二塁打を放っていたが、喜んでなどいられない。9回に3点追加し、その裏最後の打者・辻を中飛に仕留めて初めて笑みを漏らした。

 「今日中には終わるかなと思っていた。勝ててよかった。とにかく点を入れないと勝てないんで…。点を入れられて、勝てて、よかったです。キャッチャーとして10点も取られてましたから」

 必死だった。今季は右ふくらはぎ肉離れで20日間チームを離脱。復帰後は、完治していない患部にムチ打ちながらチームを支えてきた。本拠地の試合後には、温熱効果のある日本酒を250CC注いだ風呂につかり、患部をいたわりながらの戦い。打率は1割台に低迷しても、交流戦では投手陣をこの試合まで12球団トップの防御率2・47に導いてきた。肝心なところであと1本が出ず波に乗れないチームを、誰より憂える1人だった。

 今季チーム最長の4時間43分。苦しみ抜いた先に、勝率5割復帰が待っていた。ベテラン谷繁が決勝打を放ち、チームは今季最多19安打14得点。投手陣が大きく崩れた試合を、初めて打線が救った。落合監督は乱戦を語らなかったが、逆襲への流れは確かにできた。【村野

 森】

 [2009年6月4日11時17分

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