中日が秘密兵器を合流させた!

 10日の楽天戦(Kスタ宮城)を前に落合監督はドラフト3位ルーキーの岩崎恭平内野手(23)を1軍の練習に参加させた。今カード初戦の楽天先発は防御率1・23とパ・リーグトップの田中将大投手(20)が予想されるだけに苦戦も覚悟。突破口を開く1つの手段が機動力。指揮官は、50メートル走5秒6の俊足を持つ韋駄天(いだてん)を刺客として送り込む。

 落合監督が動いた。9日、緊張した面持ちで岩崎恭がKスタ宮城で行われた練習に参加。遊撃の位置について守備練習をすると、その後は谷、平田と同組でフリー打撃を敢行。20分の練習を終えようとした時にベンチから落合監督の声が飛んだ。「見てるんだからまだやめるな。あと10分。頑張って打て」。初昇格のルーキーは真剣な表情で黙々とバットを振った。

 岩崎恭の1軍昇格には理由がある。今カード楽天戦の初戦はパ・リーグ防御率トップの田中の先発が濃厚。また、13日からの日本ハム戦(札幌ドーム)には同2位のダルビッシュの先発も予想される。セ・リーグの打率トップ10に4選手をそろえる中日打線だが、日本を代表する好投手を前にして苦しむことも考えられる。そこで“足”で流れをつかむためにもチーム屈指の韋駄天を1軍に招集した。

 因縁がある。5月28日の楽天戦(ナゴヤドーム)でのことだ。1-0で迎えた9回1死満塁。4番手岩瀬が中村紀を遊ゴロに打ち取った。遊撃井端から捕手谷繁、谷繁から一塁ブランコへとボールが転送されたが、本塁はセーフの判定。土壇場で同点とされた。その時の三塁走者は50メートル走5秒8の俊足・内村だった。結局、延長10回に和田のサヨナラ弾が飛び出したが、この判定を巡り指揮官は退場(遅延行為)に追いやられた。それだけに今回は、敵に負けない足のスペシャリストを用意して臨む。

 この日、落合監督は「今日は休みだ」と話しただけで岩崎恭の昇格に関しては話さなかった。23歳の新人は「こんなに早く合流できるとは思わなかった。走塁?

 もちろんそこが自分の持ち味。代走か代打かどこで出場できるかわからないが、もし出られたらアピールしたい」と目をぎらつかせた。中日は10日から17日まで仙台、北海道、北陸と移動する。中日がしっかりとした“足固め”で遠征を乗り切る。【桝井聡】

 [2009年6月10日10時53分

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