<中日3-4ソフトバンク>◇16日◇金沢

 中日トニ・ブランコ内野手(28)が、セ・リーグ本塁打王争いダントツの19号同点2ランを放った。2点を追う4回、ソフトバンク先発ホールトンの外角カーブを石川県立野球場の左中間スタンドに突き刺した。4試合ぶりのアーチで、6月は11戦7発。試合は3-3の延長10回に守護神岩瀬が打たれて敗れ、勝率5割に逆戻りしたが、主砲の勢いは止まらない。

 中日ブランコは、つぶらなひとみを見開いてソフトバンク先発ホールトンの外角カーブをにらみつけた。長い腕をいっぱいに伸ばし、バットをブンとひと振り。打球はあっという間に左中間スタンドに突き刺さった。2点を追う4回に飛び出した19号同点2ラン。「バットの先だったけどよく飛んでくれた」。悠々とベースを1周するのも、もはや見慣れた光景だった。

 ここ3試合ノーアーチだったが、気分転換はお手のものだ。第1打席で手にしたのは谷繁の黒バット。「せっかくもらったから使ってみたんだ」。遊ゴロに倒れると、2打席目には何事もなかったように自分の白いバットでアーチをたたき込んだ。「打てるときも打てないときもある。それが野球。とてもいいホームランだった」。名古屋→仙台→北海道→金沢→富山のハードな移動が続くが、余裕さえ漂わせた。

 交流戦MVP候補のソフトバンク・オーティズから刺激を受けてもいた。幼なじみで、プロになった後も母国でいっしょにトレーニングをしたこともある仲。試合前に言葉をかわし「小さいときに首都サントドミンゴで近所に住んでいたんだ。今度、名古屋でごはんを食べにいこうと約束した」と話していた。その友人から「いい打者だから間違いなくもっと打つよ」とお墨付きももらった。ともに日本でプレーする運命をかみしめながら、闘志をかきたてていた。

 試合は7回に勝ち越され、9回に追いついたが延長戦の末に敗れた。ソフトバンクには0勝3敗で勝率5割に逆戻りしたが、ブランコの前向きな姿勢は変わらない。地方球場は4戦4発。6月は11試合で早くも7発目。チームの好不調にかかわらず、豪快なアーチで引っ張っていく。【村野

 森】

 [2009年6月17日11時1分

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