<オリックス4-6西武>◇1日◇京セラドーム大阪

 おかわり劇場で、西武逆転連勝だ。西武中村剛也内野手(25)がオリックス戦1-4のビハインドから32号特大追撃弾で始まり、同点2点二塁打に決勝2点二塁打と大暴れでヒーローになった。4安打すべて長打で5打点というあまりの活躍に、憎まれて?

 ファンから水をかけられるハプニングまで起きた。87試合で87打点という驚異のハイペースだ。

 試合後にヒーローインタビューを受けた中村が、アクシデントに見舞われた。突然降ってきた水を、頭から浴びた。水しぶきが飛んできた一塁側スタンドの方向をにらみつける。祝福ムードをぶちこわす行為に「あれはない」と一瞬ムッとした表情を浮かべたが、心ない誰かが怒りをぶつけるほど、その勝負強さは際立っていた。

 鮮やかな逆転ストーリーの主役を演じた。3点を追う6回。オリックス金子のスライダーを左翼席最上階中段に運んだ特大32号ソロは、プロローグでしかなかった。「ここから反撃です」と8回には2番手香月から左翼線上へ落ちる2点二塁打で同点。9回1死一、二塁では加藤から左中間をライナーで破る決勝2点二塁打。終盤の4イニングで、意味のある5打点。“憎まれ役”も当然だった。

 「チャンスで最近打ててなかったので、良かった。1打席目にボールの見え方が良かったから、状態がいいと思ってた」と4年ぶりの4安打もマーク。32本塁打だけでなく、87試合で87打点という打点も超ハイペース。「本塁打より、打点の方が気になりますね。4番打ってるんで」という主砲の自覚が芽生え、精神面でも成長を遂げている。

 本塁打競争で優勝した球宴から、好調をキープしている。今年は収穫が多かった。中日ブランコからは「あの飛距離はすごすぎる」と刺激を受けた。日本ハム・ダルビッシュと初めて食事する機会もあった。直接対決では、巨人李と並んで最多3本塁打を放っており「(打者として)好きじゃないと言ってましたね」。球界屈指の右腕から言われたひと言は、何よりの自信となって胸に刻まれた。

 渡辺監督は「今日の勝ちは大きい。4番がいい仕事をしてくれた」と称賛した。2日は44回目の誕生日。中村は「監督の誕生日なので、明日も絶対勝ちます」とファンに誓った。我慢の起用で使い続けてくれた恩返しのアーチをプレゼントする。【柴田猛夫】

 [2009年8月2日9時35分

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