<日本ハム8-4オリックス>◇13日◇東京ドーム

 日本ハムの快進撃が止まらない。オリックスに8-4で逆転勝ちし、球団新記録となる8カード連続勝ち越しを決めた。チーム打率2割8分台を維持する好調打線はこの日も13安打の猛攻。3点リードされた5回に小谷野栄一内野手(28)、糸井嘉男外野手(28)がともに満塁の好機で2点適時打を放ち試合をひっくり返した。7月10日から1カ月間連敗なしで、2位ソフトバンクに5ゲーム差で首位を突っ走る。

 沈滞ムードを破り、新しい球団史を切り開いた。3点を追う5回2死満塁から猛打ショーが幕を開けた。まずは小谷野。速球を右中間へ運ぶ、2点適時二塁打で1点差へ迫る。スレッジ敬遠で、なお満塁。売り出し中の糸井が初球フォークを右前へ運び逆転。「打てそうなところにきたら、食らいついていこうと思った」と振り返る。

 1回にローズに3試合連続被弾で2点を先制され、3回にさらに2点を追加された。4点のビハインド。劣勢で得意の小技が使えず、強行策を強いられたが、狙い通りのビッグイニング。小谷野は、右ひざ痛で2戦連続欠場した高橋の代役4番。8回にもダメ押しの2点打を放ち4打点をたたき出した。「1点ずつ返していくことだけ考えた」とのひたむきさが、ヒーローになるため必須条件だった。

 そんな虚勢を張らない謙虚な個々の思考が、局面での大仕事につながっている。満塁での打率は、他5球団が2割台の中でリーグでダントツの4割7厘。平野の力に押されたが、きわどいボールをカットしチャンスを待った。4回までに無四球でも、打者16人で72球を費やさせた。「ファウル、ファウルで粘ってね。平野がヘバってきたところだった」と、梨田監督がうなるしたたかさで、風穴をあけた。

 貯金は再び、今季最多23に。梨田監督も「あまり自分では思っていない」と無我夢中だが、前身の東映なども含めて球団創設以来初の8カード連続勝ち越し。ぶっちぎりゴールさえ見えてきた。【高山通史】

 [2009年8月14日9時51分

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