<ソフトバンク6-2日本ハム>◇21日◇福岡ヤフードーム

 「オー様」がソフトバンクを救った。ホセ・オーティズ内野手(32)が、日本ハムのダルビッシュ有投手(23)から1試合2本塁打を放ち、同投手に対するチームの連敗を「9」で止めた。ダルビッシュが1打者に2発を浴びるのはプロ入り後初めて。オーティズの左脇腹痛からの完全復活を告げる2本塁打で、チームにはクライマックスシリーズ(CS)進出マジック「32」が再点灯。首位日本ハムとのゲーム差も「5」に詰め、逆転優勝へ望みをつないだ。

 2本の放物線が、ソフトバンクの夢をつないだ。オーティズがお立ち台で喜びの声をあげた。「いい場面で本塁打を打てて最高だ」。今季初の1試合2発の餌食は、チームが3年越しの9連敗を喫していたダルビッシュ。助っ人の興奮が冷めないのも無理はなかった。

 1本目は2点を追う2回。高めスライダーを仕留めた。追撃の15号ソロ。左脇腹を痛め7月下旬から3週間の戦線離脱を経て、復帰第1号だった。7月14日の日本ハム戦以来、実に64打席ぶりの1発だ。両手ひとさし指を天に向ける「オー様ポーズ」でもファンを酔わせた。2本目は6回。今度は直球をたたき、逆転の16号2ランだ。

 負の歴史に別れを告げる2発だった。07年5月10日の白星を最後に土をつけられなかった右腕を、ようやく攻略した。本拠地・福岡ヤフードームでの連敗記録も「7」でストップ。しかも、ダルビッシュにプロ入り後5年目で初の1打者による2本塁打という屈辱も浴びせた。オーティズは「僕たちはダルビッシュを打った。今日で(連敗は)終わった」と胸を張った。

 すべて計算通りだ。今月11日に戦列復帰以降、5試合で17打数1安打と低空飛行を続けた。その間、首脳陣には「実戦から3週間離れていた。1週間で調子をベストに戻す」と話していた。この日は練習開始前に資料室にこもった。ダルビッシュ攻略へ、導き出した答えは「日本で最も失投が少ない投手。初球からいく」。2発は、いずれも初球。しかも1発目は「(前打者の)小久保さんに直球勝負だったので変化球を狙っていた」と読み通りの復活弾だった。

 1敗もできない首位との直接対決第1ラウンドを制した。ゲーム差はまだ「5」あるが、難敵ダルビッシュに10安打を浴びせた。相手が発熱後の登板で苦しんでいたとはいえ、天敵攻略へチーム一丸となった白星に、秋山監督も「ダルビッシュを打ち崩したのは大きい」。逆転Vへの希望が広がったこの日、秋山ホークスにCSマジック32が再点灯した。

 [2009年8月22日11時53分

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