右ひざ痛を抱えるソフトバンク松中信彦外野手(35)の患部の状態が、実は「半月板損傷」の重症であることが7日、明らかになった。半月板に亀裂が入っており、オフに手術が必要となることも決まっている。それでも先発復帰した9月は全6試合で打率5割2分4厘、本塁打2発と驚異的な数字を残す。現時点でのシーズン完走は不明だが、逆転優勝に燃える主砲は、極限状態でもチームに貢献できる道をギリギリまで探る。

 やはり重症だった。けがから2週間以上が経過してもまともに走れない松中の右ひざは「半月板損傷」の診断を受ける深刻なものだった。球団関係者の話を総合すると、半月板に亀裂が入っており、手術が必要な状態という。オフにメスを入れると見られるが、全治には最低でも2カ月前後を要すと推測される。

 大腿(だいたい)骨と脛骨(けいこつ)のすき間を埋める半月板は衝撃吸収の役割を持つ。松中は今シーズンを体重95キロ前後で迎え、100キロを超えていた過去に比べ、ひざへの負担を軽減していた。しかし、8月21日の日本ハム戦の第4打席でスイングした際に負傷。検査では骨や靱帯(じんたい)に異常はなかったが、半月板にダメージを残していた。

 その後4試合欠場し、代打出場を続けた。日数が経過しても松中は「痛みは変わらない」と話し、痛み止めの注射も効かないと明かしていた。激痛を抱える中、立花打撃コーチと二人三脚で、左足に重心を残す「軸足打法」をものにすると、9月から5番指名打者で強行スタメン復帰した。

 右足の自由が効かなくても、足を引きずりながら走っても、6試合21打数11安打4打点、打率5割2分4厘と驚異的な成績を残している。本塁打は2発。この時はゆっくりダイヤモンドを回れるが、左足で4つのベースを踏む。体は満身創痍(そうい)でも非凡な才能と気力でチームを引っ張る。

 野手陣はオフだったこの日、松中は福岡ヤフードームで体を動かし、ロッテ3連戦に備え、千葉へ移動。半月板損傷や手術については一切コメントしなかったが、ロッテ渡辺俊と約1年ぶりの対戦には「久々だね」と短い言葉で意欲を示した。渡辺俊には6試合6発を浴びせた05年から毎年アーチを放っており、相性はいい。

 並外れた精神力でグラウンドに立ち続ける松中だが、現時点で右ひざがどこまで持つのかは不透明だ。強行出場を続ければ選手寿命にも影響しかねない。松中同様に07年、半月板損傷のけがを負った阪神金本も、翌年の開幕は文字通りぶっつけ本番となった。来季以降をにらむか、逆転優勝も狙える現在のチーム状況を重視するか、デリケートな問題なだけに球団、首脳陣も慎重な判断が求められる。

 [2009年9月8日11時16分

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