<中日4-1巨人>◇29日◇ナゴヤドーム

 グライシンガー、怖くない!

 中日トニ・ブランコ内野手(28)が巨人23回戦で先発グライシンガーから先制の38号ソロを放った。クライマックスシリーズ第2ステージ(10月21日~)に進出すれば対戦が確実な巨人の助っ人右腕には打率5割4分5厘、2本塁打と大当たり。悩める主砲がCSへ向けて吹っ切れた。チームも巨人に3カードぶりの勝ち越しを決め、3年ぶりの80勝に到達した。

 ブランコに迷いはなかった。2回、巨人先発グライシンガーの外角高めの直球に対し、バットを振り抜いた。打球はブランコ特有の弾丸ライナーで左中間スタンドへ突き刺さった。「少しバットのしんが外れたけど、タイミングよく打つことができた」。本塁打王を独走する38号ソロで均衡を破るとチームは追加点を奪って連勝。巨人戦3カードぶりの勝ち越しを決め、06年以来の80勝に到達した。

 ただ、それ以上に価値があるのはCS第2ステージに進出した場合、対戦が確実なグライシンガーを打ったことだ。「すばらしい投手から打ててハッピーだよ」。ブランコは謙そんしたが、対戦成績はこの日の2打数2安打を含め、11打数6安打、打率5割4分5厘、2本塁打。日本球界の先輩で3年連続2ケタ勝利をあげている右腕を完全にカモにしている。

 チームも昨年は1勝4敗、防御率2・32と抑えこまれていたが、今季は2勝1敗、防御率5・56と力関係が逆転した。「きょうは球が高かったし、本来の調子ではなかったが、何とか打てるという感じはある」。石嶺打撃コーチが言うように、ブランコのバットが攻略の突破口となっている。第1ステージを勝ち抜けば第2ステージの初戦、2戦目はおそらくゴンザレス、グライシンガーの両助っ人との対決が濃厚。それだけにブランコの存在は心強い限りだ。

 ブランコは後半戦に入って失速し、9月は25日まで本塁打わずか1本だった。ところが26日阪神戦で66打席ぶりの本塁打を放つと、そこから4試合で2発と上昇気配。きっかけは攻める姿勢だった。「アグレッシブに行くことが重要だとわかった。スイングする姿勢を投手に見せていくことが大事なんだ」。本人が何度も口にしたように、この日はすべて第1ストライクから振った。第1ストライクの打率が4割6分を超える自分の長所を思い出した。

 「最近は厳しい攻めをされてイライラしていた。ああいうタイプのバッターはホームランが出るのが1番いい。吹っ切れたんじゃないかな」。1年間、じっとブランコの打撃を見つめてきた石嶺打撃コーチも確かな手ごたえを感じ取っていた。CS開幕へ向け、主砲の復調ぶりが何よりも頼もしい。【鈴木忠平】

 [2009年9月30日10時21分

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