ソフトバンクが今ドラフトで「野手1位指名」のプランも準備していることが3日、分かった。将来のクリーンアップ候補獲得に向けた「大砲1位指名案」も浮上。基本線は清峰の今村猛投手(3年)を筆頭候補とし、花巻東の菊池雄星投手(3年)の1位指名も検討しているが、今後の動向次第では高校通算69本塁打の横浜・筒香(つつごう)嘉智内野手(3年)や、投手ながら同48本塁打の大砲、西条・秋山拓巳投手(3年)明豊・今宮健太内野手(3年)らの名が挙がっている。

 ソフトバンクが水面下で今ドラフトへの極秘プランを準備していた。関係者の話を総合すると、これまでのスカウト・編成会議の結果、1位指名には3パターンの案が浮上しているという。中でも最有力は今春センバツで優勝を飾った右腕獲得を狙う「今村プラン」。もう1つは、争奪戦覚悟での最速155キロ左腕の「菊池プラン」。ただ、そのいずれでもない「野手プラン」も検討されていることが分かった。

 将来のクリーンアップ候補獲得へ力を注ぐには、球団の編成上の理由がある。今季、チームで4番を務めた主将小久保は10月8日で38歳、主砲松中も12月で36歳とともに絶頂期を過ぎた年ごろに入っている。球団首脳は「次世代の野手が必要な時期でもある」と話している。07年度ドラフトでは中田翔内野手の獲得を目指したが、日本ハムに奪われた。昨年度ドラフトでも、大田泰示内野手を指名したが巨人との抽選で敗れた。数年後を見据え、本塁打を打てる選手の指名プランを準備するのは当然の流れとも言える。

 候補に挙がっているのが、高校通算69発のスラッガー「ハマのゴジラ」筒香だ。横浜も1位指名を検討する逸材で、長打力は高校生の中では群を抜いている。また「伊予のゴジラ」の異名もある西条・秋山への熱視線を注いでいる。投手でも最速150キロを誇る好素材だが、身長186センチの体を生かしたパワフルな打撃も注目されている。もちろん、地元九州の明豊・今宮もマークは外していない。

 もっとも、10月ドラフトの各球団の戦略が今後の菊池の動向によって大きく変わってくることを見越してのものでもある。現時点で清峰・今村は広島との競合する可能性が高いが、菊池がメジャー宣言となれば、さらに競争率は高まることも想定。他球団の方針を見極めながら、ソフトバンクでは10月15日のプロ志望届期限を待ち、3パターンの中から最終的な結論をスカウト・編成会議で出すことが決まっている。「10・29」のドラフト直前で、方針転換の可能性は、まだ残されている。

 [2009年10月4日11時30分

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