首の故障で長期離脱していた阪神赤星憲広外野手(33)が12日、来年春季キャンプで復帰を目指すことを宣言した。この日、9月12日横浜戦(甲子園)で負傷して以降初めて西宮・鳴尾浜に治療で訪れた。同13日に「頸椎(けいつい)の椎間板(ついかんばん)ヘルニアの一時悪化」で登録を抹消された後は、自宅と病院で治療に専念。復帰メドが立たないことから不安視されていた「来季開幕」に向け、地道に復活への道のりを歩む。

 明確な目標を公言した。離脱後、黙々とリハビリに励んでいた赤星が決意を言葉をした。「来年もプレーするつもり。キャンプに向けてやれる状態に持っていきたい」と、はっきり言い切った。

 オフ期間に入ったこの日、ロングTシャツに、ジーパン姿というラフな格好で現れた。「(肌が)白くなったでしょ。久しぶりに(人前で)話すので緊張する。今日は12日ですよね。故障したのが9月12日だから」。公の場で第一声を発するまで1カ月を要した。

 横浜戦で右中間の打球にダイビングキャッチを試み、外野芝生に全身を打ちつけた。うつむいたまましばらく動けない。「終わったと思った。今年というよりも……」。その先は口をつぐんだが、負傷の瞬間、野球人生の危機さえ頭をよぎるほど、これまでに経験のない衝撃が体を駆け抜けた。

 「正直言えるような状態じゃなかったし、チームも大事なときだったので。不安だったし、コメントすらもできなかった」。CS出場を目指し、激しい3位争いを演じていたチームを思えば、自分の負傷について口を開ける心境ではなかった。

 今でも上半身にしびれが残り、日常生活にも制限がかかるという。負傷後、初めて公の場に出てきたこの日は約1時間半、マッサージなどで治療に専念した。「来春キャンプ参加」を復活の第1段階としたが、チーム関係者は「キャンプでバリバリできるかどうか分からない。まずは体が戻ることが先決」と話す。

 現実を直視すれば、復帰への道のりが険しい状況に変わりはない。赤星も「焦らず」という言葉を何度も口にし、長いオフ期間中に地道に回復の道を進む決意だ。「(治療に)いいと言われることをやっていかなければいけない」。今後は病院を中心に、鳴尾浜や甲子園で体調に応じてリハビリを続ける。

 「チームも悔しい終わり方をしたし、自分も力になれず悔いが残る。来年もう1回戦えるように」。なみなみならぬ決意を胸に、開幕戦「1番・中堅」を目指す。【鎌田真一郎】

 [2009年10月13日11時34分

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