<セCS第1ステージ:中日3-2ヤクルト>◇第2戦◇18日◇ナゴヤドーム

 中日がヤクルトを敗り、1勝1敗でCS第2ステージ進出へ逆王手をかけた。

 落合中日が、がけっぷちで踏みとどまった。負ければ終戦という追い込まれた男たちの執念だった。2-2の同点で迎えた7回2死三塁、決着をつけたのは荒木雅博内野手(32)だった。カウント0-1からの2球目。ヤクルト先発館山の制球ミスを見逃さなかった。わずかに甘くなった外角球を鋭く中前へ運んだ。「いろいろ考えて20回も、21回も打席に立ってだめだった。だから何も考えずにいこうと思った」と振り返る。

 今季はこの打席まで館山に21打数無安打。きっかけは試合中、着替えに戻ったロッカー室にあった。バットケースをのぞくと藤井から借りた黒いバットが目につき、気持ちを吹っ切る意味で普段の白から黒へ変えた。「それまで(苦手意識を)引きずっている部分があった。藤井が調子良かったので(勢いを)借りました」。直後、決勝打はそのバットから生まれた。藤井に「いいバットですね」と言われ、「腕がいいんだ!」と切り返した。16日、館山の投球を録画したDVDを持ち帰り、自宅で約2時間にらめっこ。天敵攻略の努力が報われた。

 「今日は負けたら終わりだから、勝つか、引き分けるしかない。最多勝とか関係ない。勝つか、負けるか。昨日と一緒で申し訳ないが、そういう戦いだ」と、落合監督は振り返った。相手はインフルエンザ禍に見舞われた。引き分けでも第2S進出が決まる。「こういうのは慣れているでしょ。何とかしてくれるでしょう」。追い風を受けた指揮官は早くも勝利を確信しているかのようだった。【鈴木忠平】

 [2009年10月19日8時40分

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