阪神真弓明信監督(56)が21日、マリナーズを退団した城島健司捕手(33)の獲得交渉に直接出馬する意向を示した。球団が日本国内でいち早く城島獲得の意思を表明したことを受け、「優勝争いができる戦力になる」と高く評価するとともに交渉出席も公言した。さらに口説き文句の検討を開始するなど、球団をあげての大作戦になるムード。一方で城島の古巣のソフトバンクでは師にあたる王貞治会長(69)が復帰を熱望。ソフトバンクはまだ獲得に名乗りを上げていないが、強力なライバルとなる可能性がある。

 阪神が獲得の意思を表明した城島に、真弓監督は最大級のラブコールを送った。捕手で右の強打者。今春、連覇を果たしたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では4番も打った。補強ポイントを一気にクリアする存在に、監督は賛辞を惜しまなかった

 真弓監督

 戦力的にずいぶん上がる。極端に言うと、優勝争いができる戦力になる。何が何でも、何としても来てもらうというところ。評価するのは捕手で右の大砲、両方でだね。

 これまで真弓監督と選手城島に直接の接点はない。ただ、日本最高レベルの捕手にして打者であることは、00年から4シーズン務めた近鉄コーチ時代に肌身に染みていた。

 真弓監督

 まだダイエー(ソフトバンク)だった時にキャッチャーで対戦している。痛いところでよくやられてね。当時のダイエーは強力打線で、近鉄とは打ち合いになった

 チームはこの日、甲子園で秋季練習を本格的にスタートさせ、来季への1歩目を踏み出した。球団は前日20日、城島の退団を知るやいなや、電光石火で獲得に動くことを表明した。球団のすばやい対応と歩調を合わせるように、真弓監督のフットワークも軽かった。城島への高い評価を公言し、球団がプランを練っていた獲得交渉への直接出馬を快諾。恋人城島の心を揺さぶるメッセージまで頭に描いた。

 真弓監督

 機会をつくるようにしたい。ぜひ会って話をしたい。(口説き文句も)考えないとあかんね。

 坂井オーナー以下、球団の総意で獲得に動くことを即断した阪神は、4年総額20億円を基本線とした球団史上最高額の好条件に背番号「2」を用意するなど、環境面の整備に取りかかった。さらに絶対必要な戦力であることをアピールするために、南球団社長とともに現場の長である真弓監督が交渉に臨むことが確実になった。クライマックスシリーズ(CS)終了後にも、すでに帰国している城島とひざをつき合わせて口説き落とすシナリオだ。

 就任1年目の今季はシーズンを通じて得点力不足に悩まされた。クリーンアップの組み替えを含め、来季の打線構想は白紙を強調している。城島獲得がなるか否かで、チーム作りはがらりと変わる。チームの将来を左右するプロジェクトに向け、真弓監督が最善手を指す。

 [2009年10月22日10時22分

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