エッ、不出馬?

 ソフトバンク王貞治球団会長(69)が22日、マリナーズを退団した城島健司捕手(33)の獲得レースにソフトバンクが参戦した場合でも、直接交渉に出席しない姿勢を示した。球団は今月末までに参戦か撤退を決定する予定だが、いずれにしろ営業面と編成面に影響が出るのは必至。資金面も即ゴーサインを出せない理由の1つと見られ、城島と太いパイプを持つ王会長の“不出馬”発言と合わせれば、現時点では本命阪神、対抗ソフトバンクの様相だ。

 わずか1日で後退の印象を周囲に感じさせた。21日に「彼の存在感はホークスに必要だろう」と熱いラブコールを送った王会長のトーンが明らかに下がった。

 午前9時ごろに福岡ヤフードームに姿を現すと、城島獲得については「おれの担当じゃないから」と淡々と話して球団事務所に消えた。海の向こうでは同時進行で城島が電話会見に応じた。報道陣から会見内容を伝え聞くと「早急には答えを出せない、それくらい大きいということ」と反応。その3時間後、事務所を後にする時も冷静な口調だった。

 王会長

 直接、話を?

 おれが出なきゃいけないというわけではない。本人も(日本球界で)やる気なんだし、おれがどうの、こうのというのではないよ。

 仮に参戦表明した場合でも師弟関係にある城島に対して、交渉不出馬の姿勢を示した。消極的とも受け取れる発言の背景には獲得レースに参戦か、撤退か明確に意思表示できない球団の事情も見え隠れする。

 仮に城島獲得となった場合、ポスト城島として著しく成長した田上の起用だけでなく小久保、松中を含めたDHの使い方が課題となる。その一方でチケット販売など営業面では強力な「販促アイテム」となり、売り上げ面でも大きな“補強”となる。親会社のソフトバンク本社は決算発表が29日に控えており、結論はその直後に孫正義オーナー(52)が打ち出すと見られる。

 阪神が城島獲得に4年総額20億円を用意。資金面について、あるソフトバンク球団関係者は「資金面で解消すべきことがある」とも話している。

 今後の展開について王会長は続けた。「あとは責任者が十分考えてくれたらいい。こちらとして(城島が必要という)個人的な話はあるが、それに関する意見交換はしていない」。意思決定を球団幹部に託し、待ち続けるしかない現実が“不出馬”発言につながったのかもしれない。

 球団事務所にこもった角田雅司球団代表(57)も「今日は何もない。進展がない。本当に何も決まっていない。答えようがない」と繰り返すだけだった。球団を挙げて城島獲得へ一丸となり、代理人との接触を認める阪神に水をあけられている印象はぬぐえない

 態度保留を続けた末の参戦となれば逆転するだけの切り札が必要。これまで竹内COO(球団常務最高執行責任者=49)は「交渉ごとは表に出さないのが鉄則」とも話している。現時点でタカ党は球団の意思表示に注目するしかない。

 [2009年10月23日11時27分

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